皮膚科領域における光線力学的療法(PDT)

光線力学的療法(photodynamic therapy : PDT)は腫瘍親和性光感受性物質と光線との併用により悪性腫瘍内で光化学反応を惹起させ,腫瘍細胞を選択的に死滅させる治療法である. 皮膚科領域においては未だ保険診療は認められてはいないが,ポルフィリン前駆体の5-aminolevulinic acid(ALA)を外用するALA-PDTが主に行われており,特に日光角化症,Bowen病,表在型基底細胞癌などの表在性上皮性皮膚悪性腫瘍の治療に有効である. われわれは630nmの波長であるエキシマダイレーザーを用い日光角化症,Bowen病,表在型基底細胞癌などの表在性皮膚悪性腫瘍,皮膚リンパ腫...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 27; no. 4; pp. 303 - 308
Main Authors 松本, 義也, 中瀬古, 裕乃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 2006
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.27.303

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Summary:光線力学的療法(photodynamic therapy : PDT)は腫瘍親和性光感受性物質と光線との併用により悪性腫瘍内で光化学反応を惹起させ,腫瘍細胞を選択的に死滅させる治療法である. 皮膚科領域においては未だ保険診療は認められてはいないが,ポルフィリン前駆体の5-aminolevulinic acid(ALA)を外用するALA-PDTが主に行われており,特に日光角化症,Bowen病,表在型基底細胞癌などの表在性上皮性皮膚悪性腫瘍の治療に有効である. われわれは630nmの波長であるエキシマダイレーザーを用い日光角化症,Bowen病,表在型基底細胞癌などの表在性皮膚悪性腫瘍,皮膚リンパ腫,手術が困難と思われる乳房外Paget病,さらに悪性腫瘍以外の脂腺増殖症,難治性疣贅,尋常性ざ瘡,サルコイドーシスなどの皮膚疾患に対しALA-PDTを行っている.特に日光角化症,Bowen病の症例を多数経験しており良好な治療成績を得ている. 高齢化が進む現在,表在性皮膚悪性腫瘍の患者も年々増加傾向にある.外用ALA-PDTは非侵襲的であり,高齢者や全身状態の悪い方,手術を拒否された方にも適応できるのが特長である. 全身への副作用はなく,繰り返し治療が可能であり,整容的にも優れているPDTの必要性は今後さらに高くなると考える. また皮膚科領域におけるPDTを広く一般に普及させるためにはガイドラインの作成が必要と考えられる.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.27.303