Li-Fraumeni症候群乳癌患者における対側リスク低減乳房切除によって発見されたオカルト乳癌の1例

症例は28歳女性.左乳房腫瘤自覚を機に,ホルモン受容体陰性HER2陽性の浸潤性乳管癌cT2N0M0 cStageⅡAと診断された.若年発症の乳癌でありBRCAとTP53の遺伝学的検査を施行しTP53遺伝子病的バリアントを認め,Li-Fraumeni症候群(LFS)と診断した.術前化学療法後に,左皮膚温存乳房切除術,左センチネルリンパ節生検,右リスク低減乳房切除術(RRM),両側乳房再建術を施行.左乳癌は病理学的完全奏功,右乳房にオカルト癌を二箇所認めた.現在術後抗HER2療法を完遂した.LFSに対してRRMを施行した症例の報告は,本邦では著者が調べた限り他にない.さらにそのリスク低減切除乳房内...

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Published in遺伝性腫瘍 Vol. 25; no. 1; pp. 26 - 33
Main Authors 鹿股 直樹, 山中 美智 子, 喜多 久美子, 黒瀨 絢子, 鈴木 美慧, 角田 博子, 吉田 敦, 竹井 淳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会 04.07.2025
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ISSN2435-6808
DOI10.18976/jsht.25.1_26

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Summary:症例は28歳女性.左乳房腫瘤自覚を機に,ホルモン受容体陰性HER2陽性の浸潤性乳管癌cT2N0M0 cStageⅡAと診断された.若年発症の乳癌でありBRCAとTP53の遺伝学的検査を施行しTP53遺伝子病的バリアントを認め,Li-Fraumeni症候群(LFS)と診断した.術前化学療法後に,左皮膚温存乳房切除術,左センチネルリンパ節生検,右リスク低減乳房切除術(RRM),両側乳房再建術を施行.左乳癌は病理学的完全奏功,右乳房にオカルト癌を二箇所認めた.現在術後抗HER2療法を完遂した.LFSに対してRRMを施行した症例の報告は,本邦では著者が調べた限り他にない.さらにそのリスク低減切除乳房内にオカルト癌を認めたことからLFSにおけるRRMの重要性を示唆する症例であった.また若年発症の乳癌患者を診察する際にはLFSの可能性を念頭に置くことが肝要であると考えられた.
ISSN:2435-6808
DOI:10.18976/jsht.25.1_26