活動性肺結核に合併した気胸症例の臨床的検討

活動性肺結核に合併した気胸症例についてretrospectiveに検討した。1987年から1997年に当院で入院加療した活動性肺結核症例3611例中, 気胸合併者は男性38例女性8例の計46例 (18歳~90歳, 平均54.3歳, 気胸合併率1.3%) であった。入院時の喀痰抗酸菌検査では33例が塗抹陽性で, 41例が胸部X線写真で空洞を有していた。気胸発症時の肺の虚脱程度は, 軽度11例, 中等度32例, 高度3例で, 気胸を契機に肺結核が発見された症例と, 抗結核薬投与後に気胸を合併した症例が同数であった。気胸の治療は, 安静のみ11例, 胸腔穿刺による脱気4例, 胸腔ドレナージによる持続...

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Published in結核 Vol. 77; no. 5; pp. 395 - 399
Main Authors 八木, 毅典, 佐々木, 結花, 黒田, 文伸, 和田, 暁彦, 山岸, 文雄, 水谷, 文雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.05.2002
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.77.395

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Summary:活動性肺結核に合併した気胸症例についてretrospectiveに検討した。1987年から1997年に当院で入院加療した活動性肺結核症例3611例中, 気胸合併者は男性38例女性8例の計46例 (18歳~90歳, 平均54.3歳, 気胸合併率1.3%) であった。入院時の喀痰抗酸菌検査では33例が塗抹陽性で, 41例が胸部X線写真で空洞を有していた。気胸発症時の肺の虚脱程度は, 軽度11例, 中等度32例, 高度3例で, 気胸を契機に肺結核が発見された症例と, 抗結核薬投与後に気胸を合併した症例が同数であった。気胸の治療は, 安静のみ11例, 胸腔穿刺による脱気4例, 胸腔ドレナージによる持続脱気24例, 手術7例であった。転帰は, 軽快31例, 死亡15例 (32.6%) で, うち呼吸不全死が13例であった。軽快した症例群に比べ, 死亡した症例群では, 栄養学的指標である血清アルブミン値・小野寺の提唱した栄養学的予後指数 (10×Alb+0.005× リンパ球数) ・Body mass indexが低値であった。結核患者の診療においては, 気胸の合併を念頭に置き, 気胸が発症した場合には速やかに対応することが必要と思われた。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.77.395