日本母体救命システム協議会(J-CIMELS)講習会導入前後での産後異常出血搬送症例の比較検討:シミュレーション教育の普及は産後異常出血時の大量輸血を減少させるか

目的:鹿児島県では2018年から日本母体救命システム協議会ベーシックコース講習会の受講を推奨してきた.取り組み開始前後3年ずつの母体搬送症例の予後を比較しその効果を検討した. 方法:2015年1月〜2020年12月に鹿児島市立病院と鹿児島大学病院に1,000g以上の産後異常出血のために搬送となった症例を講習会導入前の前期(2015年〜2017年)と導入後の後期(2018年〜2020年)にわけ背景と転帰の比較を行った. 結果:前期63症例,後期105症例,後期で約1.7倍に増加していた.大量輸血を要する症例は46.0%から29.5%に減少した.多変量解析では,大量輸血に有意に関連する因子は講習会...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 205 - 212
Main Authors 前田, 隆嗣, 濵田, 朋紀, 上塘, 正人, 折田, 有史, 内藤, 喜樹, 橋本, 崇史, 太崎, 友紀子, 谷口, 博子, 切原, 奈美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2024
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.60.2_205

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Summary:目的:鹿児島県では2018年から日本母体救命システム協議会ベーシックコース講習会の受講を推奨してきた.取り組み開始前後3年ずつの母体搬送症例の予後を比較しその効果を検討した. 方法:2015年1月〜2020年12月に鹿児島市立病院と鹿児島大学病院に1,000g以上の産後異常出血のために搬送となった症例を講習会導入前の前期(2015年〜2017年)と導入後の後期(2018年〜2020年)にわけ背景と転帰の比較を行った. 結果:前期63症例,後期105症例,後期で約1.7倍に増加していた.大量輸血を要する症例は46.0%から29.5%に減少した.多変量解析では,大量輸血に有意に関連する因子は講習会受講の有無,帝王切開分娩,2,200g以上の出血,凝固異常であり,J-CIMELS講習会受講は大量輸血のリスクを減少させるために有効であることが示唆された.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.60.2_205