巨大中縦隔腫瘍(Castleman病)の一切除例―術前気管支動脈塞栓術の有用性と手術アプローチについて

症例は23歳男性.職場健診で胸部異常影を指摘された.胸部CTで中縦隔に8 cm大の腫瘤を認めたため,経気管支生検,右開胸腫瘍生検を施行したが,確定診断には至らなかった.診断と治療目的で根治切除を行う方針とした.腫瘍は血流が豊富で開胸生検の際,止血に難渋したため,術前日に気管支動脈から腫瘍へ流入する栄養血管に対して塞栓術を施行した.腫瘍は大血管,左右主気管支を圧排しており,外科的アプローチに一考を要したが,最も難渋すると予想された左主肺動脈と左主気管支からの剥離を左開胸で行い,そのまま右側へ剥離することで完全切除し得た.術前の気管支動脈塞栓術は有効で術中出血を最小限に抑えることができた.永久標本...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 95 - 100
Main Authors 鈴木, 健司, 内田, 真介, 王, 志明, 金野, 智明, 北村, 嘉隆, 高持, 一矢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.95

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Summary:症例は23歳男性.職場健診で胸部異常影を指摘された.胸部CTで中縦隔に8 cm大の腫瘤を認めたため,経気管支生検,右開胸腫瘍生検を施行したが,確定診断には至らなかった.診断と治療目的で根治切除を行う方針とした.腫瘍は血流が豊富で開胸生検の際,止血に難渋したため,術前日に気管支動脈から腫瘍へ流入する栄養血管に対して塞栓術を施行した.腫瘍は大血管,左右主気管支を圧排しており,外科的アプローチに一考を要したが,最も難渋すると予想された左主肺動脈と左主気管支からの剥離を左開胸で行い,そのまま右側へ剥離することで完全切除し得た.術前の気管支動脈塞栓術は有効で術中出血を最小限に抑えることができた.永久標本ではCastleman病と確定診断された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.95