大腸菌O157感染モデル動物の開発

ヒトの大腸菌O157感染では,出血性大腸炎に続発すると考えられる溶血性尿毒症症候群を呈する重篤な腎不全,あるいは神経症状により致死する例がある。これは,大腸菌O157の産生する毒素VT1あるいはVT2に起因すると考えられている。我々は,これらの毒素により引き起こされる病態の解析と,その予防と治療を目的とし感染モデル動物の開発を行っている。 開発の手段としては,種々の実験動物に精製したVT1あるいはVT2を投与し臨床症状の観察と病変の組織病理学的検索を行い,ヒトでの症状と病変に外挿できうる系を検討する。その系で実際に菌を経口接種し,同一の病変を安定して再現させることのできる方法を開発するという手...

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Published in日本乳酸菌学会誌 Vol. 8; no. 2; pp. 97 - 100
Main Authors 網, 康至, 福田, 靖, 永田, 典代, 須崎, 百合子, 高橋, 元秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本乳酸菌学会 1998
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Summary:ヒトの大腸菌O157感染では,出血性大腸炎に続発すると考えられる溶血性尿毒症症候群を呈する重篤な腎不全,あるいは神経症状により致死する例がある。これは,大腸菌O157の産生する毒素VT1あるいはVT2に起因すると考えられている。我々は,これらの毒素により引き起こされる病態の解析と,その予防と治療を目的とし感染モデル動物の開発を行っている。 開発の手段としては,種々の実験動物に精製したVT1あるいはVT2を投与し臨床症状の観察と病変の組織病理学的検索を行い,ヒトでの症状と病変に外挿できうる系を検討する。その系で実際に菌を経口接種し,同一の病変を安定して再現させることのできる方法を開発するという手段を用いている。開発した系については,その病態解析から発症機序の解析を行い,かつその系を用いて抗毒素による予防及び治療の可能性について検討を行った。
ISSN:1343-327X
2186-5833
DOI:10.4109/jslab1997.8.97