透析患者に生じた両側大腿四頭筋腱断裂の1例

「はじめに」近年, 長期血液透析患者に様々な合併症が生じることが知られている5). 今回我々は長期血液透析患者に発症した両側大腿四頭筋腱断裂の1例を経験し, 人工靱帯を用いた腱再建術を行い良好な結果が得られたので, 若干の文献的考察を含め報告する. 症例 症例は37歳男性, 29歳時より慢性腎不全のため腹膜透析を受けていた. 平成13年8月29日スーパー内の濡れた床の上で滑り, 両膝を着くような形で転倒し受傷. 直後より両膝部痛出現し歩行困難となった為, 同日当科を受診された. 入院時現症両膝蓋骨上端に陥凹を触れ, 膝関節自動伸展不能であった(図1). 血液学的検査では, 貧血と腎機能障害以外...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 2; pp. 294 - 297
Main Authors 野口, 義夫, 小宮, 節郎, 川畑, 了大, 小原, 良規, 津畑, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2003
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.52.294

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Summary:「はじめに」近年, 長期血液透析患者に様々な合併症が生じることが知られている5). 今回我々は長期血液透析患者に発症した両側大腿四頭筋腱断裂の1例を経験し, 人工靱帯を用いた腱再建術を行い良好な結果が得られたので, 若干の文献的考察を含め報告する. 症例 症例は37歳男性, 29歳時より慢性腎不全のため腹膜透析を受けていた. 平成13年8月29日スーパー内の濡れた床の上で滑り, 両膝を着くような形で転倒し受傷. 直後より両膝部痛出現し歩行困難となった為, 同日当科を受診された. 入院時現症両膝蓋骨上端に陥凹を触れ, 膝関節自動伸展不能であった(図1). 血液学的検査では, 貧血と腎機能障害以外に特に異常を認めなかった. 画像所見膝関節の単純X線検査では, 両側の膝蓋骨低位と両側大腿四頭筋腱の一部石灰化を認めた(図2). 軟部撮影およびMRI検査では, 大腿四頭筋腱の断裂像を認めた(図3). 以上より, 両側大腿四頭筋腱断裂と診断し, 受傷後8日目に靱帯再建術を施行した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.294