臨床放射線診断からみた胆道炎ガイドラインの課題と対策 急性胆管炎診断におけるダイナミックCTの有用性

急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン初版では,胆管炎による炎症そのものは画像(CT,US,MRI)では診断できないので,画像診断の意義は胆道閉塞の有無やその成因を診断することであると記載されている。しかしながら,造影ダイナミックCTを施行することで,胆管炎に特徴的な所見を得ることができる。すなわち,胆管炎ではダイナミックCTの動脈相で肝実質に一過性の不均一濃染が高率に認められる。この濃染は門脈相~平衡相では消失する。この不均一濃染の成因は,胆管炎に伴う炎症の肝内グリソン鞘への波及により末梢門脈血流が低下し,代償性に末梢肝動脈血流が増加するためと考えられている。胆管炎の治療により炎症が改善すれば,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 3; pp. 603 - 606
Main Author 蒲田, 敏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.603

Cover

More Information
Summary:急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン初版では,胆管炎による炎症そのものは画像(CT,US,MRI)では診断できないので,画像診断の意義は胆道閉塞の有無やその成因を診断することであると記載されている。しかしながら,造影ダイナミックCTを施行することで,胆管炎に特徴的な所見を得ることができる。すなわち,胆管炎ではダイナミックCTの動脈相で肝実質に一過性の不均一濃染が高率に認められる。この濃染は門脈相~平衡相では消失する。この不均一濃染の成因は,胆管炎に伴う炎症の肝内グリソン鞘への波及により末梢門脈血流が低下し,代償性に末梢肝動脈血流が増加するためと考えられている。胆管炎の治療により炎症が改善すれば,この不均一濃染も改善ないし消失する。臨床的に胆管炎が疑われる場合には,迅速な診断と治療を行うためにもダイナミックCTの施行が勧められる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.603