気管腕頭動脈瘻による気道出血に対して小口径ステントグラフトを留置した3カ月後,再出血を来たし腕頭動脈離断術を行った1例

症例は15歳女児,全前脳胞症,重症心身障害児であり,4年前に気管切開施行後,在宅管理されていた.気管内吸引後に突然多量の出血を認めたため救急要請され当院へ搬送,造影CTで気管腕頭動脈瘻と診断された.呼吸循環動態が不安定だったため,小口径ステントグラフトを腕頭動脈に留置し,術後33日目に退院した.その3カ月後,気管カニューレチューブから出血を認め救急要請され当院へ搬送.病院到着時は自然止血されていたが,入院後も複数回出血を認めたため,腕頭動脈離断術を行い,術後20日目に退院した.気管腕頭動脈瘻は,気管切開後に生じる合併症で,発症率は0.3%程度と稀ではあるが,治療しなかった場合の死亡率はほぼ10...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 189 - 192
Main Authors 鈴木, 脩平, 平原, 浩幸, 菅原, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2023
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Summary:症例は15歳女児,全前脳胞症,重症心身障害児であり,4年前に気管切開施行後,在宅管理されていた.気管内吸引後に突然多量の出血を認めたため救急要請され当院へ搬送,造影CTで気管腕頭動脈瘻と診断された.呼吸循環動態が不安定だったため,小口径ステントグラフトを腕頭動脈に留置し,術後33日目に退院した.その3カ月後,気管カニューレチューブから出血を認め救急要請され当院へ搬送.病院到着時は自然止血されていたが,入院後も複数回出血を認めたため,腕頭動脈離断術を行い,術後20日目に退院した.気管腕頭動脈瘻は,気管切開後に生じる合併症で,発症率は0.3%程度と稀ではあるが,治療しなかった場合の死亡率はほぼ100%と予後不良な合併症である.気管腕頭動脈瘻に対して小口径ステントグラフトを留置することは一時的な止血として有用であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.189