冬季塩分環境下におけるコウライシバ(Zoysia matrella Merr.)葉身部のイオン濃度

冬季塩分環境下におけるコウライシバ(Zoysia matrella (L.) Merr.)の健全葉および枯死葉のイオン濃度特性を明らかにするため,冬季165日間にわたり本種に4段階のNaCl溶液[0 g/L (Control),7.5 g/L,15 g/L,30 g/L]を施用した。その結果,30 g/L区では,全ての葉身部の枯死が確認された(枯死率100%)。葉身部のNa+濃度は健全葉より枯死葉で高く,7.5 g/L区で1.4倍,15 g/L区で2.0倍高い値であった。Cl-濃度も同様に枯死葉で高い値を示し,7.5 g/L区で1.4倍,15 g/L区で2.0倍,健全葉より高い値を示した。一方...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 46; no. 2; pp. 232 - 236
Main Authors 杉浦, 総一郎, 高橋, 新平
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本緑化工学会 30.11.2020
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Summary:冬季塩分環境下におけるコウライシバ(Zoysia matrella (L.) Merr.)の健全葉および枯死葉のイオン濃度特性を明らかにするため,冬季165日間にわたり本種に4段階のNaCl溶液[0 g/L (Control),7.5 g/L,15 g/L,30 g/L]を施用した。その結果,30 g/L区では,全ての葉身部の枯死が確認された(枯死率100%)。葉身部のNa+濃度は健全葉より枯死葉で高く,7.5 g/L区で1.4倍,15 g/L区で2.0倍高い値であった。Cl-濃度も同様に枯死葉で高い値を示し,7.5 g/L区で1.4倍,15 g/L区で2.0倍,健全葉より高い値を示した。一方,K+濃度は健全葉で高く,Control区で2.3倍,7.5 g/L区で1.8倍,15 g/L区で1.8倍,枯死葉より高い値を示し,Na+,Cl-濃度と逆の傾向を示した。さらに,K+/Na+比は,枯死葉より健全葉で高く,7.5 g/L区,15 g/L区においてそれぞれ2.4倍,3.5倍高い値を示した。枯死葉と健全葉のイオン濃度とK+/Na+比に明らかな違いが見られたことから,コウライシバは枯死に至る前の老化した葉に多くのNa+,Cl-を蓄積させることで,冬季における塩ストレスに対応していると考えられた。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.46.232