スポーツ関連の腰痛(種目特性とピットフォール):水泳選手の腰部障害

水泳競技は水に関わる環境で行われるスポーツの総称であり,日本水泳連盟では競泳,水球,飛込,アーティスティックスイミング,オープンウォータースイミング,日本泳法の6種目に種別している. このうちオリンピック種目である日本泳法を除いた5競技の共通点としては,水中もしくは空中という非荷重空間における競技を行う点である.水泳選手に生じる代表的な腰部疾患としては腰椎椎間板変性,腰椎椎間板ヘルニア,腰椎分離症,Baastrup病,特発性側弯症などが挙げられる.非荷重空間では運動を行うために,支えがない空間における姿勢の制御が求められる.そのため体幹の随意性が非常に重要であり,構造的に安定している胸郭には柔...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 33; no. 1; pp. 151 - 159
Main Authors 元島, 清香, 清水, 顕, 辰村, 正紀, 塚越, 祐太, 金岡, 恒治, 半谷, 美夏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床スポーツ医学会 2025
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ISSN1346-4159
2758-3767
DOI10.57474/jjcsm.33.1_151

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Summary:水泳競技は水に関わる環境で行われるスポーツの総称であり,日本水泳連盟では競泳,水球,飛込,アーティスティックスイミング,オープンウォータースイミング,日本泳法の6種目に種別している. このうちオリンピック種目である日本泳法を除いた5競技の共通点としては,水中もしくは空中という非荷重空間における競技を行う点である.水泳選手に生じる代表的な腰部疾患としては腰椎椎間板変性,腰椎椎間板ヘルニア,腰椎分離症,Baastrup病,特発性側弯症などが挙げられる.非荷重空間では運動を行うために,支えがない空間における姿勢の制御が求められる.そのため体幹の随意性が非常に重要であり,構造的に安定している胸郭には柔軟性が,不安定な腰部には体幹深部筋強化が求められる.体幹深部筋強化は腰部障害の予防としても有用である.さらに腰部障害の予防としては,異常を早期に発見するための定期的なメディカルチェックが重要である.水中運動は腰痛に対する運動療法として有効であることが知られているが,競技レベルが高い選手への水中運動は負荷が大きいこともあり腰痛の原因となるため注意が必要である.
ISSN:1346-4159
2758-3767
DOI:10.57474/jjcsm.33.1_151