膵粘液嚢胞性腫瘍(MCN)は全例,切除の適応か?:3つのガイドラインと多数例の後ろ向き観察研究よりみた検討

MCNは全例外科的に切除すべきか?との問題について,3つのガイドライン,大きな後ろ向き観察研究などのエビデンスをもとに,概説した.IAPガイドラインとヨーロッパ専門家コンセンサスはIPMNとMCNを別個のものとして扱っているが,AGAガイドラインは膵嚢胞性腫瘍でまとめて,臨床的取扱いはIPMN,MCなどを区別していない.IAPではMCNは全例切除すべきとの立場だが,その他の2つのガイドラインはMCNの症状の有無,腫瘍マーカー,嚢胞径,壁在結節,主膵管拡張などの悪性(浸潤性)予測因子により手術適応を考えようとの立場である.多数例の(多施設)後ろ向き観察研究でもMCNは全例手術すべきとの意見もある...

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Published in膵臓 Vol. 32; no. 5; pp. 795 - 805
Main Author 山口, 幸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2017
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.32.795

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Summary:MCNは全例外科的に切除すべきか?との問題について,3つのガイドライン,大きな後ろ向き観察研究などのエビデンスをもとに,概説した.IAPガイドラインとヨーロッパ専門家コンセンサスはIPMNとMCNを別個のものとして扱っているが,AGAガイドラインは膵嚢胞性腫瘍でまとめて,臨床的取扱いはIPMN,MCなどを区別していない.IAPではMCNは全例切除すべきとの立場だが,その他の2つのガイドラインはMCNの症状の有無,腫瘍マーカー,嚢胞径,壁在結節,主膵管拡張などの悪性(浸潤性)予測因子により手術適応を考えようとの立場である.多数例の(多施設)後ろ向き観察研究でもMCNは全例手術すべきとの意見もあるが,最近の論文では悪性予測因子で手術適応を考えようとするものが多い.MCNの手術適応に関して,ガイドライン,多数例の後向き観察研究のエビデンスを検討し,概説した.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.32.795