卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるジェノゲスト効果の免疫組織学的解析

ジェノゲストはプロゲステロン作用を有する新規経口プロゲスチン製剤であり,子宮内膜症の臨床症状を抑制する.今回卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるジェノゲスト効果を免疫組織学的に解析した.ジェノゲストを使用した12例と,使用していない20例(対照群)の卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるエストロゲン受容体-α,プロゲステロン受容体A,およびKi-67の発現を免疫組織学的に検討した.対照群と比較においてジェノゲスト使用例は,卵巣子宮内膜症性嚢胞の上皮細胞(P = 0.022)と間質細胞(P = 0.004)ともに有意に細胞増殖指数が低下していた.しかしながらエストロゲン受容体-αとプロゲステロン受容体Aの発現は上...

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Published inJournal of UOEH Vol. 38; no. 4; pp. 271 - 278
Main Authors 栗田, 智子, 川越, 俊典, トゥイー, チイ グエン, 鏡, 誠治, 蜂須賀, 徹, 卜部, 理恵, 植田, 多恵子, 久岡, 正典
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 学校法人 産業医科大学 2016
Subjects
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.38.271

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Summary:ジェノゲストはプロゲステロン作用を有する新規経口プロゲスチン製剤であり,子宮内膜症の臨床症状を抑制する.今回卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるジェノゲスト効果を免疫組織学的に解析した.ジェノゲストを使用した12例と,使用していない20例(対照群)の卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるエストロゲン受容体-α,プロゲステロン受容体A,およびKi-67の発現を免疫組織学的に検討した.対照群と比較においてジェノゲスト使用例は,卵巣子宮内膜症性嚢胞の上皮細胞(P = 0.022)と間質細胞(P = 0.004)ともに有意に細胞増殖指数が低下していた.しかしながらエストロゲン受容体-αとプロゲステロン受容体Aの発現は上皮細胞,間質細胞ともに両群で有意差を示さなかった.ジェノゲスト使用にかかわらず,上皮細胞のエストロゲン受容体-α(中央値:32%)とプロゲステロン受容体A(中央値:8%)発現は低値であり,それに反して間質細胞のエストロゲン受容体-α(中央値:68%)とプロゲステロン受容体A(中央値:92%)は高値であった.対照群の中で上皮細胞,間質細胞のKi-67,エストロゲン受容体-αとプロゲステロン受容体A発現は月経周期の増殖期,分泌期において有意差を認めなかった.ホルモン受容体発現の変化にジェノゲスト使用によって細胞増殖を抑制されていることは,卵巣子宮内膜症性嚢胞におけるジェノゲストのプロゲステロン効果では説明できない.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.38.271