Methicillin-resistant Staphylococcus aureus感染局所治療剤としての各種色素剤の抗菌効果に関する検討

• Published in: CHEMOTHERAPY Vol. 41; no. 9; pp. 935 - 940
• Main Authors: 田口, 桜子, 佐治, 守, 向坂, 元秀, 葉山, 修陽, 大薗, 英一, 内山, 喜一郎, 星, 健二, 大国, 寿士
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1993
• Subjects: MRSA; 色素剤
• ISSN: 0009-3165; 1884-5894
• DOI: 10.11250/chemotherapy1953.41.935

褥瘡などの皮膚感染病巣からのmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 除菌を目的として, 6種類の色素剤をその薬剤として選択し, まず3種の標準菌Staphylococcusaureus (S. aureus), Pseudomonas aeruginosa (P. aeruginona), Escherichia coli (E. coli) を用いてその抗菌活性につき検討した。その結果, triphenylmethane系の3種類の色素剤はP. aeruginosa, E. coliに対して他系の色素剤に比し, 際立った抗菌作用は認められないものの, S. aureusはいずれにも高い感受性を示し, なかでもgentian violetは最小殺菌濃度 (minimumbactericidal concentration;MBC) が0.0025%と, もっとも強い殺菌効果が認められた。さらに臨床分離菌を用いた感受性の測定においても, gentian violetはMRSAを含むSamusに対してMBCが≦0.0025%～0.08%の値を示した。またgentian violetを最小発育阻止濃度 (minimum inhibitory concentration; MIC) 0.00032%-0.00064%含み, ヒト血清を5%の割合で添加した培地にて, 54時間継続培養してもMRSAの発育は認められず, 持続した抗菌効果が認められた。以上のことよりgentian violetはMRSAに対して低濃度で臨床使用が可能であることが想定され, 褥瘡などのMRSA感染皮膚病巣に有効な薬剤となりうることが示唆された。