日本総合健診医学会 第49回大会・共催シンポジウム 画像検査所見用語の標準化 健診用語集としての画像所見の標準用語、類義語、部位の制定

従来、検診における画像所見に使用される用語は、多数の類義語が自由に使われることにより、各施設間で不統一になっている。その結果、検査所見が施設ごとに異なる用語で記載され、医学用語に不慣れな受診者に混乱が生じたり、学会等におけるデータ集積に支障を来す、などの不便を生じている。その統一化のための用語案作成を、日本総合健診医学会、日本医師会総合政策研究機構、日本人間ドック学会の3者による共同作業として行った。 作業内容は、i)実際に登録された所見名を確認し問題点を明らかにするために、無作為に抽出した50施設816,175人分の登録所見名を調査する、ii)画像検査8種(心電図、眼底、胸部X線、上部消化管...

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Published in総合健診 Vol. 48; no. 6; pp. 511 - 516
Main Author 小林, 伸行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.11.2021
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.48.511

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Summary:従来、検診における画像所見に使用される用語は、多数の類義語が自由に使われることにより、各施設間で不統一になっている。その結果、検査所見が施設ごとに異なる用語で記載され、医学用語に不慣れな受診者に混乱が生じたり、学会等におけるデータ集積に支障を来す、などの不便を生じている。その統一化のための用語案作成を、日本総合健診医学会、日本医師会総合政策研究機構、日本人間ドック学会の3者による共同作業として行った。 作業内容は、i)実際に登録された所見名を確認し問題点を明らかにするために、無作為に抽出した50施設816,175人分の登録所見名を調査する、ii)画像検査8種(心電図、眼底、胸部X線、上部消化管X線、上部消化管内視鏡、腹部超音波、乳腺超音波、マンモグラフィー)について標準用語を作成する、iii)作成した標準用語と同義の語を標準用語に自動的に変換すべく、類義語として収集、リスト化することである。 多数の類義語の使用、複数の所見が1つに記載されていたり、あるいは部位と所見を1つとして記載するなどの記載形式の不統一、半角・全角文字の混在等の原因で、8画像検査で72,031種の所見名が登録されていた。その問題点を整理し、標準部位名、標準所見名からなる標準用語を作成した。さらに標準所見名と同義の用語を類義語として収集、登録した。以上の作業の結果、作業前に72,031あった所見名数は、計200標準部位名、650標準所見名、4,965類義語に整理された。 画像検査所見の標準化の究極的な目標は、近い将来、全国的に、いつでも、どの受診者・施設においても、検査所見を簡便に参照できる態勢を構築することである。そのためには、標準所見用語の作成に加えて、全国的に記載フォーマットも統一化されることが不可欠であり、今後の課題であろう。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.48.511