デジタル医療を用いた精神科医療の可能性

デジタル精神医療は,精神医学の分野において,デジタル技術やツールを活用して診断,治療,患者ケアの質を向上させる取り組みを指す.ユーザーだけでなく医療従事者にもアクセシビリティの向上が期待でき,医療の効率化に直結する.また医療の客観化にも寄与する.Digital Phenotypingは,精神障害に特有の特定の特性をコンピュータ化された測定ツールによってリアルタイムに捕捉することである.従来まで難関であった,抑うつ状態を有する患者の双極性障害発症のリスクの予測も可能である.コミュニケーションロボットは,精神科分野では特に自閉スペクトラム症(ASD)との親和性が指摘されている.ASD者は自身のネガ...

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Published in産業精神保健 Vol. 33; no. 1; pp. 17 - 20
Main Author 熊﨑, 博一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本産業精神保健学会 20.02.2025
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ISSN1340-2862
2758-1101
DOI10.57339/jjomh.33.1_17

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Summary:デジタル精神医療は,精神医学の分野において,デジタル技術やツールを活用して診断,治療,患者ケアの質を向上させる取り組みを指す.ユーザーだけでなく医療従事者にもアクセシビリティの向上が期待でき,医療の効率化に直結する.また医療の客観化にも寄与する.Digital Phenotypingは,精神障害に特有の特定の特性をコンピュータ化された測定ツールによってリアルタイムに捕捉することである.従来まで難関であった,抑うつ状態を有する患者の双極性障害発症のリスクの予測も可能である.コミュニケーションロボットは,精神科分野では特に自閉スペクトラム症(ASD)との親和性が指摘されている.ASD者は自身のネガティブなことに関しては,ヒトよりロボットの方が自己開示しやすいことが明らかになっている.ロボットはうつ病のアセスメント,吃音,緘黙症状を有する患者への治療としても有用との報告もあり,今後の活用に期待が高まる.
ISSN:1340-2862
2758-1101
DOI:10.57339/jjomh.33.1_17