ノーベル経済学賞から考える日本の作業療法研究

この原稿を書きはじめたのは2021年の10月であるが,毎年10月といえばノーベル賞各賞が発表される季節である.私も大学に身を置く研究者の端くれとして,毎年ノーベル賞の行方に興味をもっており,特に近年,ノーベル経済学賞に注目している.作業療法にとっては経済学賞よりもむしろ医学・生理学賞の方が関係深そうなものであるが,それはさておき,例えば2002年はダニエル・カーネマン氏,2017年はリチャード・セイラー氏らによる行動経済学関連の研究に贈られている.その行動経済学において,「人は必ずしも合理的に行動するわけではない」ことを前提に,対象となる人々の選択に余地を残しながら行動変容を促すナッジ理論は,...

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Published in作業療法 Vol. 41; no. 2; p. 143
Main Author 川又, 寛徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本作業療法士協会 15.04.2022
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ISSN0289-4920
2434-4419
DOI10.32178/jotr.41.2_143

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Summary:この原稿を書きはじめたのは2021年の10月であるが,毎年10月といえばノーベル賞各賞が発表される季節である.私も大学に身を置く研究者の端くれとして,毎年ノーベル賞の行方に興味をもっており,特に近年,ノーベル経済学賞に注目している.作業療法にとっては経済学賞よりもむしろ医学・生理学賞の方が関係深そうなものであるが,それはさておき,例えば2002年はダニエル・カーネマン氏,2017年はリチャード・セイラー氏らによる行動経済学関連の研究に贈られている.その行動経済学において,「人は必ずしも合理的に行動するわけではない」ことを前提に,対象となる人々の選択に余地を残しながら行動変容を促すナッジ理論は,作業療法の臨床全般に役立つ理論であるので,興味がある方は成書にあたっていただきたい.
ISSN:0289-4920
2434-4419
DOI:10.32178/jotr.41.2_143