小腸穿孔による腹膜炎手術後に鼠径ヘルニア囊膿瘍をきたした1例
80代,男性。両側鼠径ヘルニアを指摘されていた。手術歴はない。特発性小腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し,緊急で小腸部分切除を行い,術後23日で軽快退院した。術後42日目に外来を受診した際,右鼠径部に鶏卵大の腫瘤を触知した。同部位の発赤や発熱,疼痛はなかったが,炎症反応の上昇と,CTで鼠径部に膿瘍を認め,鼠径ヘルニア囊膿瘍と診断した。同日,膿瘍ドレナージ術とヘルニア根治術を行い,術後合併症なく経過し,二度目の手術から13日目で退院した。ヘルニア囊膿瘍の原因として,初回手術の洗浄が不十分であった可能性がある。ヘルニアを指摘されている患者が腹膜炎手術を行った場合には,ヘルニア囊内を含め腹腔内を十分に...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 395 - 397 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.03.2025
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.45.395 |
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Summary: | 80代,男性。両側鼠径ヘルニアを指摘されていた。手術歴はない。特発性小腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し,緊急で小腸部分切除を行い,術後23日で軽快退院した。術後42日目に外来を受診した際,右鼠径部に鶏卵大の腫瘤を触知した。同部位の発赤や発熱,疼痛はなかったが,炎症反応の上昇と,CTで鼠径部に膿瘍を認め,鼠径ヘルニア囊膿瘍と診断した。同日,膿瘍ドレナージ術とヘルニア根治術を行い,術後合併症なく経過し,二度目の手術から13日目で退院した。ヘルニア囊膿瘍の原因として,初回手術の洗浄が不十分であった可能性がある。ヘルニアを指摘されている患者が腹膜炎手術を行った場合には,ヘルニア囊内を含め腹腔内を十分に洗浄する必要があると考える。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.45.395 |