高心拍状態でのファントムを用いたCoronary CTAの撮影プロトコルの検討 : 特に乳幼児に関して

目的 : この研究の目的は乳幼児のcoronary CTAを将来的に見据え, 高心拍下でのcoronary CTAを行う際の撮影プロトコルの検討をすることにあった.方法 : 心臓動態ファントムと模擬血管を用い, 心拍数を60から130 bpmまで可変させて心電同期撮影を行った.撮影プロトコルは3種類のbeam pitch (BP) と管球回転速度による組合せで同じ撮影を繰り返した.得られた画像をワークステーション上で解析し, 各画像から得られた狭窄率と模擬血管内の設定狭窄率との誤差を統計学的に解析した.またvolume rendering (VR) 画像を作成し, その画質を5段階視覚評価した...

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Published in順天堂医学 Vol. 57; no. 4; pp. 377 - 386
Main Authors 木暮, 陽介, 尾崎, 裕, 桑鶴, 良平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2011
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Summary:目的 : この研究の目的は乳幼児のcoronary CTAを将来的に見据え, 高心拍下でのcoronary CTAを行う際の撮影プロトコルの検討をすることにあった.方法 : 心臓動態ファントムと模擬血管を用い, 心拍数を60から130 bpmまで可変させて心電同期撮影を行った.撮影プロトコルは3種類のbeam pitch (BP) と管球回転速度による組合せで同じ撮影を繰り返した.得られた画像をワークステーション上で解析し, 各画像から得られた狭窄率と模擬血管内の設定狭窄率との誤差を統計学的に解析した.またvolume rendering (VR) 画像を作成し, その画質を5段階視覚評価した.結果 : 心拍数が増加するほど模擬血管内の狭窄の計測に誤差が生じる傾向がみられた.また模擬血管の径が細いほど, 疑似狭窄率が高いほど計測誤差は大きくなり, BPが小さい, すなわち被曝線量の多い撮影ほど計測誤差は小さくなる傾向がみられた.しかし計測誤差の変化は画一的ではなく, 心拍数が60から80bpmまでの間と110から130bpmまでの間では, それぞれ計測誤差の有意な増加はみられなかった.また心拍数が 90から110bpmまでの間と心拍数が130bpmのときには3種類の BPの撮影いずれの間にも計測誤差に有意差はなく, 心拍数が80bpm以外においては最小のBPを設定した撮影と30%被曝線量を低減した撮影間で計測誤差に有意差はみられなかった.VR画像の視覚評価では, 心拍数100bpm以下のすべての画像で4点 (very good) 以上の画質が得られた.結語 : 心拍数や血管径ならびにsegment再構成法の特性を考慮することで, 高心拍下でのcoronary CTAを行う際に, 画質劣化を抑えた被曝線量のなるべく少ない, 個々の症例に合った撮影プロトコルの選択が可能と考えられた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.57.377