スティック型嗅覚検査法(Odor Stick Identification Test for Japanese: OSIT-J)と嗅覚同定能力研究用カードキット(Open Essence: OE)の互換性
嗅覚同定検査にスティック型嗅覚検査法(OSIT-J)とオープンエッセンス(OE)がある。これらは検査手順が異なるが,同じ12嗅素で構成されており,近年,広く臨床研究に利用されるようになってきた。今回,我々はこの二つの検査に一致性があるかを検討した。嗅覚正常と自覚している20歳以上40歳未満の男女各10名,全20例の健常ボランティアを対象とし1群は初回にOSIT-J,2週間後にOEを施行し,2群は逆の順で検査を行った。結果:ボランティアの平均年齢32.1歳,男性32.7歳,女性31.4歳で男女間に有意差は認めなかった(P=0.56)。OSIT-Jの平均値は11.0(中央値11.0,95%CI:1...
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Published in | 日本鼻科学会会誌 Vol. 61; no. 1; pp. 99 - 104 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本鼻科学会
2022
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Subjects | |
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ISSN | 0910-9153 1883-7077 |
DOI | 10.7248/jjrhi.61.99 |
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Summary: | 嗅覚同定検査にスティック型嗅覚検査法(OSIT-J)とオープンエッセンス(OE)がある。これらは検査手順が異なるが,同じ12嗅素で構成されており,近年,広く臨床研究に利用されるようになってきた。今回,我々はこの二つの検査に一致性があるかを検討した。嗅覚正常と自覚している20歳以上40歳未満の男女各10名,全20例の健常ボランティアを対象とし1群は初回にOSIT-J,2週間後にOEを施行し,2群は逆の順で検査を行った。結果:ボランティアの平均年齢32.1歳,男性32.7歳,女性31.4歳で男女間に有意差は認めなかった(P=0.56)。OSIT-Jの平均値は11.0(中央値11.0,95%CI:10.6~11.6),OEは10.7(中央値11.0,95%CI:10.1~11.2)で,両検査平均値,中央値ともに95%CIに含まれた。嗅素別の正答率は12嗅素中,カレーのみ両検査ともに100%であった。同一被検者において,両検査間の同定(正答)・非同定(誤答)嗅素の一致率は,同定(正答)で100%一致した症例は5/20例,非同定(誤答)では1/16例であった。以上の結果より,2検査間でスコアは互換性があると考えられるが,同一被検者で調べると,同定嗅素・非同定嗅素は必ずしも一致しないことから,嗅素に関しては,互換性はないと考えられた。診断としての同定スコアは両者共用で用いることができるが,嗅素間の比較は難しいと思われる。 |
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ISSN: | 0910-9153 1883-7077 |
DOI: | 10.7248/jjrhi.61.99 |