地理総合必履修化に伴う今後の地理教育

本稿は,必履修科目となった地理総合の現状と課題を明らかにし,今後の地理教育の方向性を提案することを目的とした。持続可能な社会づくりに求められる地理科目を目指す地理総合では,地理ESD授業として,様々な地域スケ−ルで表出している現代世界の諸課題を対象とし,持続可能性と地理的な見方・考え方を働かせた思考による地理認識と判断による社会参加の過程を踏むESDとしての地理的探究が求められる。学習指導要領解説の記述から,持続可能性の視点から地理的な見方・考え方を働かせた思考・判断の過程が連続していない内容構成となっていた。特に,グロ−バルな視座から地理ESD授業が求められる大項目「国際理解と国際協力」にお...

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Published in地理空間 Vol. 12; no. 3; pp. 179 - 191
Main Author 永田, 成文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地理空間学会 2019
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ISSN1882-9872
2433-4715
DOI10.24586/jags.12.3_179

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Summary:本稿は,必履修科目となった地理総合の現状と課題を明らかにし,今後の地理教育の方向性を提案することを目的とした。持続可能な社会づくりに求められる地理科目を目指す地理総合では,地理ESD授業として,様々な地域スケ−ルで表出している現代世界の諸課題を対象とし,持続可能性と地理的な見方・考え方を働かせた思考による地理認識と判断による社会参加の過程を踏むESDとしての地理的探究が求められる。学習指導要領解説の記述から,持続可能性の視点から地理的な見方・考え方を働かせた思考・判断の過程が連続していない内容構成となっていた。特に,グロ−バルな視座から地理ESD授業が求められる大項目「国際理解と国際協力」において,文化摩擦問題や地球的課題の解決に向けて考察・構想することが不十分であった。今後の地理教育の方向性として,資源・エネルギ−問題を事例として,持続可能性や地理的概念を関連づけた問いにより問題発見,原因究明,現状分析を行う地理認識の過程,価値判断,意思決定,社会形成を行う社会参加の過程を踏んだ地理ESD授業のモデルを示した。地理総合における世界規模と生活圏規模の課題の解決策を考察・構想する学びを基に,地理探究において持続可能な国土像を考察・構想するなど,地理教育全体を見据えて地理ESD授業を関連づけていく必要がある。
ISSN:1882-9872
2433-4715
DOI:10.24586/jags.12.3_179