肝切除で治癒したK.pneumoniae起因難治性肝膿瘍の1例

Klebsiella pneumoniae起因肝膿瘍に対して抗菌剤投与と経皮経肝膿瘍ドレナージ(percutaneous transhepatic abscess drainage;以下PTADと略記)の治療を行ったが,敗血症を併発したため保存的治療開始35日目に準緊急的に肝右葉切除術を行い,その後順調に経過した症例を報告した.今回の報告例のように保存的治療に抵抗性で外科治療を必要とする症例もいまだに存在する.細菌性肝膿瘍に対する手術適応の判断は困難であるが,画像診断の特徴(多発膿瘍,大きな膿瘍,隔壁により隔絶された膿瘍,厚い被膜を有する膿瘍,胆道病変の合併など),膿の性状(高い粘稠度),起因...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 2; pp. 392 - 398
Main Authors 柴崎, 正幸, 日下, 浩二, 阿部, 学, 三浦, 英明, 伊地知, 正賢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.392

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Summary:Klebsiella pneumoniae起因肝膿瘍に対して抗菌剤投与と経皮経肝膿瘍ドレナージ(percutaneous transhepatic abscess drainage;以下PTADと略記)の治療を行ったが,敗血症を併発したため保存的治療開始35日目に準緊急的に肝右葉切除術を行い,その後順調に経過した症例を報告した.今回の報告例のように保存的治療に抵抗性で外科治療を必要とする症例もいまだに存在する.細菌性肝膿瘍に対する手術適応の判断は困難であるが,画像診断の特徴(多発膿瘍,大きな膿瘍,隔壁により隔絶された膿瘍,厚い被膜を有する膿瘍,胆道病変の合併など),膿の性状(高い粘稠度),起因菌を総合的に考慮し,保存的治療が奏効しない場合には肝切除は速やかな回復が得られる有効な治療手段であり,細菌性肝膿瘍の治療にあたる際には選択肢の一つとして考慮しておくべきと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.392