アルミナ担持金属ニッケル触媒による2-クロロプロペンからプロピレンへの効果的な脱塩素

前報では,アルミナ担持パラジウム触媒による 2-クロロプロペン(2-PEN)の接触還元が348 Kで高い活性を示したことを報告した。しかしこの場合,2-クロロプロパン(2-PAN),プロピレンおよびプロパンが非選択的に生成されたので,実際の社会実装を考えると分離プロセス併設が不可欠となっていた。本研究では,アルミナ担持ニッケル触媒が2-PENのプロピレンへの高選択的変換を達成できることを明らかにした。たとえば,473 Kでは,10 %のNiを担持した触媒を用いると,2-PENの転化率が15.0 %,プロピレンの選択率は95.7 %に達した。ただし,プロピレン収率が14.3 %であったため,62...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 66; no. 6; pp. 217 - 222
Main Authors 杉山, 茂, 日和田, 有香, 矢原, 稜太, 西村, 太一, 霜田, 直宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.11.2023
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Summary:前報では,アルミナ担持パラジウム触媒による 2-クロロプロペン(2-PEN)の接触還元が348 Kで高い活性を示したことを報告した。しかしこの場合,2-クロロプロパン(2-PAN),プロピレンおよびプロパンが非選択的に生成されたので,実際の社会実装を考えると分離プロセス併設が不可欠となっていた。本研究では,アルミナ担持ニッケル触媒が2-PENのプロピレンへの高選択的変換を達成できることを明らかにした。たとえば,473 Kでは,10 %のNiを担持した触媒を用いると,2-PENの転化率が15.0 %,プロピレンの選択率は95.7 %に達した。ただし,プロピレン収率が14.3 %であったため,623 Kで反応を検討した。その結果,2-PENの転化率75.6 %,プロピレンへの選択率78.6 %となり,プロピレン収率が59.4 %となった。最も注目すべき点は,この条件下でプロパンが生成されなかったことである。したがって,本触媒系では,プロパンとプロピレンを分離する必要はない。ニッケルを触媒として用いることで,プロピレンからプロパンへの過度の還元が抑制されると結論付けられた。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.66.217