障害児者に適した歯ブラシ選択のための基礎的研究 第2報:荷重と挙動

障害児者はブラッシング時の力のコントロールが困難であることが多く,各人のブラッシングスキルに適した歯ブラシ選択が重要である.本研究では,第1報で開発した歯ブラシ機能評価モデル凸型の単半円柱モデル(以下,Single half cylinder model:SHCモデル)を用いて,毛先形態およびブラッシング時の力が歯ブラシの挙動に及ぼす影響について検討した.試験歯ブラシはスーパーテーパード毛フラット(以下,ST),ラウンド毛フラット(以下,RO),複合段差植毛(以下,FU)とした.モデルに貼付した磁気テープの剝離状態から清掃性を,歯ブラシを動かしたときの慣性センサから得られた角速度からヘッド位置...

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 23 - 32
Main Authors 高柳, 篤史, 野本, たかと, 小野, 晃弘, 猪俣, 英理, 山岸, 敦, 地主, 知世, 三枝, 優子, 遠藤, 眞美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 28.02.2021
日本障害者歯科学会
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.42.23

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Summary:障害児者はブラッシング時の力のコントロールが困難であることが多く,各人のブラッシングスキルに適した歯ブラシ選択が重要である.本研究では,第1報で開発した歯ブラシ機能評価モデル凸型の単半円柱モデル(以下,Single half cylinder model:SHCモデル)を用いて,毛先形態およびブラッシング時の力が歯ブラシの挙動に及ぼす影響について検討した.試験歯ブラシはスーパーテーパード毛フラット(以下,ST),ラウンド毛フラット(以下,RO),複合段差植毛(以下,FU)とした.モデルに貼付した磁気テープの剝離状態から清掃性を,歯ブラシを動かしたときの慣性センサから得られた角速度からヘッド位置を算出し,最大値と最小値の絶対値の和をヘッドの振幅としてヘッドの挙動を評価した.ROは50gfと300gfで振幅が大きかった.剝離プロファイルにおいて,50gfではモデルの頂点付近での剝離を認めないことから,ヘッドが跳び上がったことが予想された.ROの300gf,STとFUでは荷重が大きすぎると振幅が大きくなった.これは毛の柔軟性が失われて大きくたわみ,毛の脇で刷掃したため剝離面積が大きくなったことにつながったと考えられた.今回,毛先形態の違いに関する荷重とヘッドの挙動について評価したところ,ブラッシング時のヘッドの振幅が適正荷重の指標となる可能性と毛先形態によって適正荷重が異なる可能性が示唆された.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.42.23