トイレ機器の衛生管理に用いる水道電解水の水質安全性

温水洗浄便座に組込まれ、洗浄ノズルや便器内壁の衛生管理に活用されている電解システムは、水道水質を維持しながら低濃度(<5 mg/L)有効塩素を含有する水道電解水を生成することを特徴とする。この水道電解水の水質を担保するために、その原水となる水道水について全国(47都道府県)の水質データを調査し、電解によって水質変化し得る要因としてpH、塩化物イオン、有機物について解析した。その結果、全国の水道水の90%以上がpH6.9~7.7(基準値5.8~8.6)、塩化物イオン(Cl-)50 mg/L以下(基準値200 mg/L)、有機物1 mg/L以下(基準値3 mg/L)の限局された範囲に分布する...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in機能水研究 Vol. 12; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 林, 香里, 梅本, 歩, 石井, 克典, 佐藤, 基和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本機能水学会 10.09.2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1348-2432
2759-551X
DOI10.69185/jfw.12.1_1

Cover

More Information
Summary:温水洗浄便座に組込まれ、洗浄ノズルや便器内壁の衛生管理に活用されている電解システムは、水道水質を維持しながら低濃度(<5 mg/L)有効塩素を含有する水道電解水を生成することを特徴とする。この水道電解水の水質を担保するために、その原水となる水道水について全国(47都道府県)の水質データを調査し、電解によって水質変化し得る要因としてpH、塩化物イオン、有機物について解析した。その結果、全国の水道水の90%以上がpH6.9~7.7(基準値5.8~8.6)、塩化物イオン(Cl-)50 mg/L以下(基準値200 mg/L)、有機物1 mg/L以下(基準値3 mg/L)の限局された範囲に分布することが明らかとなった。これらの範囲から最も逸脱した水道水および範囲内の水道水を選択して水道電解水を作製し分析した結果、有効塩素濃度の変化(上昇)以外の水質変化はわずかで、いずれも日本の水道水質基準およびWHO飲料水水質ガイドラインに適合していた。したがって、本電解システムは、全国の水道水を用いて水道水質基準を維持する安全な水道電解水を安定して生成・供給できると判断された。
ISSN:1348-2432
2759-551X
DOI:10.69185/jfw.12.1_1