トイレ機器の衛生管理に用いる水道電解水の水質安定性と電解槽電極耐久性

殺菌力と水道水質を有することを特徴とするトイレ機器用水道電解水の水質安定性と長時間反復使用における電解槽電極の耐久性について調べた。水質安定性については、水道電解水生成後の有効塩素濃度が密閉静置条件および開放条件において原水レベルに戻るまでの挙動と原水レベルに回帰した水の水質を分析した。その結果、密閉静置条件では有効塩素は初発濃度が異なっていても一定の速度で低下し、1 mg/Lの検体は約1.5ヶ月、2 mg/Lの検体は約4ヶ月で原水レベルとなった。4.5 mg/Lの検体は約3ヶ月で半減したが、その後の低下は緩慢となり8ヶ月後も1 mg/Lの残留が認められた。原水レベルとなった検体の水質はいずれ...

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Published in機能水研究 Vol. 12; no. 1; pp. 7 - 11
Main Authors 林, 香里, 梅本, 歩, 石井, 克典, 佐藤, 基和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本機能水学会 10.09.2016
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ISSN1348-2432
2759-551X
DOI10.69185/jfw.12.1_7

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Summary:殺菌力と水道水質を有することを特徴とするトイレ機器用水道電解水の水質安定性と長時間反復使用における電解槽電極の耐久性について調べた。水質安定性については、水道電解水生成後の有効塩素濃度が密閉静置条件および開放条件において原水レベルに戻るまでの挙動と原水レベルに回帰した水の水質を分析した。その結果、密閉静置条件では有効塩素は初発濃度が異なっていても一定の速度で低下し、1 mg/Lの検体は約1.5ヶ月、2 mg/Lの検体は約4ヶ月で原水レベルとなった。4.5 mg/Lの検体は約3ヶ月で半減したが、その後の低下は緩慢となり8ヶ月後も1 mg/Lの残留が認められた。原水レベルとなった検体の水質はいずれも水道水質基準51項目に適合していた。一方、開放条件試験において水道電解水の有効塩素(2 mg/L弱)は、少量静置(直径10 cmシャーレに約15 mL;水深2 mm)では90~100分、多量撹拌(1 L容ビーカーに800 mL)では約24時間で原水レベルに回帰した。他の水質パラメータの変動は僅かで水道水質基準値内であった。電解槽電極の耐久性に関しては、初期は0.38 Aの電流が流れ、1.5 mg/Lの有効塩素生成能を示したが、反復使用の時間経過とともに電流値および有効塩素生成能が徐々に低下し、450時間経過時点で電流値0.2 A、有効塩素濃度0.8 mg/Lとなった。そして、600時間経過時点では電流値0.03 A、有効塩素濃度0.3 mg/Lとなり、電解能がほぼ認められなくなった。なお、600時間経過時点での水道電解水の水質は水道水とほぼ同じであった。
ISSN:1348-2432
2759-551X
DOI:10.69185/jfw.12.1_7