繰り返しの転倒がみられるパーキンソン病者における意思決定の特徴

本研究の目的は、繰り返し転倒するパーキンソン病(PD)者について、PDの重症度や運動機能、認知機能などを用いる従来の方法に、意思決定機能を測定できるIowa Gambling Task(IGT)を含めて検討することである。対象は在宅生活中のPD者16名とした。対象者を過去1年間の転倒回数が2回以上の繰り返し転倒群(10名)と1回以下の非繰り返し転倒群(6名)に分け、属性、H&Y分類、MDS-UPDRS、MMSE、TMT、FAB、MFES、IGTの成績、IGTの各Deckの選択回数および20施行ごとのIGTの成績を比較した。結果、繰り返し転倒群では非繰り返し転倒群に比べて有意にH&...

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Published in神経理学療法学 Vol. 3; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 鈴木, 英樹, 武田, 祐貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本神経理学療法学会 29.03.2023
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ISSN2758-0458
DOI10.57353/jsnpt.3.1_1

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Summary:本研究の目的は、繰り返し転倒するパーキンソン病(PD)者について、PDの重症度や運動機能、認知機能などを用いる従来の方法に、意思決定機能を測定できるIowa Gambling Task(IGT)を含めて検討することである。対象は在宅生活中のPD者16名とした。対象者を過去1年間の転倒回数が2回以上の繰り返し転倒群(10名)と1回以下の非繰り返し転倒群(6名)に分け、属性、H&Y分類、MDS-UPDRS、MMSE、TMT、FAB、MFES、IGTの成績、IGTの各Deckの選択回数および20施行ごとのIGTの成績を比較した。結果、繰り返し転倒群では非繰り返し転倒群に比べて有意にH&Y分類が重度でTMTが速いことに加え、IGTにおいて有意にギャンブル性の高いDeckの選択回数が多く、IGT最終盤における成績が低いことが示された。このことは、繰り返し転倒するPD者が大きなリスクを避けず、かつ罰や失敗から学習することが困難であることを示唆している。今後もPD者の特徴を踏まえた検討を行っていく必要がある。
ISSN:2758-0458
DOI:10.57353/jsnpt.3.1_1