気道上皮細胞培養膜におけるナノ微粒子の透過性

ナノ微粒子が気道を介して体内に侵入し, 気道疾患や心臓疾患などの慢性病の要因となることが動物を使用したいくつかの実験結果から推測されてきた。また, 最近の研究では, 50nm以下の超微粒子が鼻・気管・肺胞から脳内に輸送されることも, カーボン粒子をトレーサーとしてラットを用いた実験結果から明らかにされている。 本研究では, ヒトおよびウサギの正常気道上皮細胞培養膜を用いて, 水酸化ランタン (2nm程度) をトレーサー粒子とし, 培養細胞膜への超微粒子の侵入の有無と経路に関する実験的検討を行った。正常ヒト細胞の場合には凍結1次継代細胞培養系を, またウサギ (白ウサギ雄) の場合には気管から分...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 49; no. Supplement1; pp. 32 - 36
Main Authors 高野, 頒, 藤ヶ谷, 匠, 伊藤, 正行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.2006
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Summary:ナノ微粒子が気道を介して体内に侵入し, 気道疾患や心臓疾患などの慢性病の要因となることが動物を使用したいくつかの実験結果から推測されてきた。また, 最近の研究では, 50nm以下の超微粒子が鼻・気管・肺胞から脳内に輸送されることも, カーボン粒子をトレーサーとしてラットを用いた実験結果から明らかにされている。 本研究では, ヒトおよびウサギの正常気道上皮細胞培養膜を用いて, 水酸化ランタン (2nm程度) をトレーサー粒子とし, 培養細胞膜への超微粒子の侵入の有無と経路に関する実験的検討を行った。正常ヒト細胞の場合には凍結1次継代細胞培養系を, またウサギ (白ウサギ雄) の場合には気管から分離された初代細胞培養系を用いた。フラスコ培養後, コラーゲンコートしたウェル上で3次元立体細胞培養を行い, 上皮粘膜の電気抵抗を測定しながら培養日数10日程度で微絨毛などの細胞分化を確認し培養膜を得た。アシングチャンバーに培養膜を挟み, トレーサー粒子を添加して培養膜におけるナノ粒子の透過性を調べた。実験結果から, 水酸化ランタンの超微粒子はタイトジャンクションを通過し, 細胞間隙に侵入することが明らかとなった。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.49.Supplement1_32