脳卒中片麻痺患者における運動イメージ時の運動誘発電位変化について

運動イメージ中の大脳皮質脊髄路の興奮性を, 経頭蓋磁気刺激 (TMS) による運動誘発電位 (MEP) の変化により検討した. 対象は健常成人5名 (平均年齢29.4歳) と脳卒中片麻痺患者5名 (平均年齢55.8歳) で, 発光ダイオード (LED) が点灯している2秒間は, 健常者では右手, 脳卒中患者では麻痺側の手指を握る運動をイメージし, LEDが消えたらイメージを中止して安静にするという課題を与えた. LEDの点灯直後 (0秒) およびその1, 2, 3秒後にそれぞれランダムに計100回, イメージを行った側の一次運動野の手指領域に対しTMSを行い, その対側の第一背側骨間筋からME...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 7; pp. 457 - 462
Main Authors 大田, 哲生, 辻, 哲也, 鈴木, 幹次郎, 村岡, 慶裕, 正門, 由久, 里宇, 明元, 木村, 彰男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 2005
日本リハビリテーション医学会
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ISSN0034-351X
1880-778X
DOI10.2490/jjrm1963.42.457

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Summary:運動イメージ中の大脳皮質脊髄路の興奮性を, 経頭蓋磁気刺激 (TMS) による運動誘発電位 (MEP) の変化により検討した. 対象は健常成人5名 (平均年齢29.4歳) と脳卒中片麻痺患者5名 (平均年齢55.8歳) で, 発光ダイオード (LED) が点灯している2秒間は, 健常者では右手, 脳卒中患者では麻痺側の手指を握る運動をイメージし, LEDが消えたらイメージを中止して安静にするという課題を与えた. LEDの点灯直後 (0秒) およびその1, 2, 3秒後にそれぞれランダムに計100回, イメージを行った側の一次運動野の手指領域に対しTMSを行い, その対側の第一背側骨間筋からMEPを導出した. その結果, 健常人, 脳卒中患者ともに, 5名中3名で運動イメージ中にMEP振幅が有意に増大し, 残りの2名も増大傾向にあったことから, 運動イメージは健常人と同様, 脳卒中患者においても大脳皮質脊髄路の興奮性変化を引き起こすことが示され, 今後, 運動麻痺患者に対する治療への応用の可能性が示唆された.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.42.457