急性硬膜下血腫で発症した破裂海綿静脈洞内内頸動脈瘤の1例

海綿静脈洞内内頸動脈瘤は通常破裂してもくも膜下出血を起こす可能性は低く, 主な症状は動脈瘤そのものによる圧迫症状で, 生命的に重篤になることは少ないといわれている. そのためmicrosurgeryや血管内手術が進歩し, その治療適応が拡大した今日においても, 無症状のものでは積極的な治療は行われず, 経過観察しているのが現状である. 今回, 海綿静脈洞内内頸動脈瘤の破裂で急性硬膜下血腫となり不幸な転帰をとった, 非常にまれな症例を経験したので報告する. 症例 患者:55歳, 女性. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:2000年9月21日, 突然の頭痛で発症し...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 30; no. 5; pp. 403 - 406
Main Authors 布村, 克幸, 藤重, 正人, 中川, 俊男, 端, 和夫, 村山, 直昭, 進藤, 徳久, 山村, 明範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 30.09.2002
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.30.403

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Summary:海綿静脈洞内内頸動脈瘤は通常破裂してもくも膜下出血を起こす可能性は低く, 主な症状は動脈瘤そのものによる圧迫症状で, 生命的に重篤になることは少ないといわれている. そのためmicrosurgeryや血管内手術が進歩し, その治療適応が拡大した今日においても, 無症状のものでは積極的な治療は行われず, 経過観察しているのが現状である. 今回, 海綿静脈洞内内頸動脈瘤の破裂で急性硬膜下血腫となり不幸な転帰をとった, 非常にまれな症例を経験したので報告する. 症例 患者:55歳, 女性. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:2000年9月21日, 突然の頭痛で発症し搬入された. CT上左海綿静脈洞部に高吸収域のmassとそれに隣接したempty sellaを認めたが, 他に異常は認めなかった(Fig. 1). この時に腰椎穿刺を行ったが髄液, 頭蓋内圧ともに正常であった. MRAで左海綿静脈洞内内頸動脈瘤を認めたが, 硬膜外であり頭痛との関連は低いと考え, この時点では動脈瘤に対する治療は行わず, 定期的にfollowすることとした.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.30.403