形態学的な定量的分析法による脳のno-reflow phenomenonの再検討

No-reflow phenomenon (NRP) はcirculatory arrest後の脳障害の1要因として注目されてはいるが, その存否については議論が多い.そこで著者らは従来の定性的方法とは異った, 定量的分析方法 (Point counting method) を用いて, NRPの有無を再確認する目的で本研究を行った.まず対照群におけるcarbonblack脳潅流後の脳切片を観察した.その結果, 肉眼的には均一に黒染されていても, 定量的に微小血管密度を算出してみると, 脳の各領域で大きな差のある事が判明した.従ってcarbon black脳潅流法によって脳虚血後のNRPの有無を...

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Published in脳卒中 Vol. 2; no. 3; pp. 197 - 206
Main Authors 宮坂, 佳男, 川野, 信之, 村上, 雅子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1980
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Summary:No-reflow phenomenon (NRP) はcirculatory arrest後の脳障害の1要因として注目されてはいるが, その存否については議論が多い.そこで著者らは従来の定性的方法とは異った, 定量的分析方法 (Point counting method) を用いて, NRPの有無を再確認する目的で本研究を行った.まず対照群におけるcarbonblack脳潅流後の脳切片を観察した.その結果, 肉眼的には均一に黒染されていても, 定量的に微小血管密度を算出してみると, 脳の各領域で大きな差のある事が判明した.従ってcarbon black脳潅流法によって脳虚血後のNRPの有無を論ずるためには, 対照群と対応する同一領域の微小血管密度を定量的に算出し, 両者を比較検討する事が必須であると結論した.本法で判定したところ, 15分間のcirculatory arrest負荷解除直後ではNRPと称される脳微小循環障害は認められたが, 体血圧が正常化した血流再開15分後では, 微小血管密度の減少は全く見られずNRPは一過性の現象である事が確認された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.2.197