収縮期および拡張期高血圧1650例における血圧および血行動態の加令的変化について

最近11年間にこおける本態性高血圧および動脈硬化性高血圧1650例を対象に,血圧型分類を行ない,血行力学的立場から,その特徴と加令的変化にこついて検討した.収縮期高血圧は29才以下および60才以降で多かつたが,拡張期高血圧を伴う症例は各年令群で高率に認められ, 70才以上の老年群でも比較的多く認められた.血行力学的には,収縮期高血圧は高心拍出傾向,拡張期高血圧では末梢血管抵抗亢進傾向が強かつたが,いずれも強い圧負荷を受けていた.収縮期高血圧では,心拍出量が30才台以下で増加, 40才台以降では正常上限にあつたが,末梢血管抵抗の明らかな増大は伴わなかつた.圧負荷の程度は老年群にむかい軽減した.収...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 541 - 548
Main Authors 加藤, 陽一, 木川田, 隆一, 重広, 世紀子, 上嶋, 十郎, 村松, 準, 小林, 明芳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1985
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.74.541

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Summary:最近11年間にこおける本態性高血圧および動脈硬化性高血圧1650例を対象に,血圧型分類を行ない,血行力学的立場から,その特徴と加令的変化にこついて検討した.収縮期高血圧は29才以下および60才以降で多かつたが,拡張期高血圧を伴う症例は各年令群で高率に認められ, 70才以上の老年群でも比較的多く認められた.血行力学的には,収縮期高血圧は高心拍出傾向,拡張期高血圧では末梢血管抵抗亢進傾向が強かつたが,いずれも強い圧負荷を受けていた.収縮期高血圧では,心拍出量が30才台以下で増加, 40才台以降では正常上限にあつたが,末梢血管抵抗の明らかな増大は伴わなかつた.圧負荷の程度は老年群にむかい軽減した.収縮期・拡張期高血圧では,血行力学的数値がいずれもほぼ正常範囲内にあつたが,圧負荷の程度は若年群で強く,老年群では比較的軽度であつた.拡張期高血圧では,末梢血管抵抗亢進とともに強い圧負荷病態が示されたが,これは70才台で最も強く, 80才以上では正常化した.各血圧型で示された老年群における圧負荷の軽減,すなわち心ポンプ機能の改善は,高血圧の経過中に受けた淘汰の結果によると思われる。老年者高血圧症例にいては,いずれの血圧型であつても,代償性心ポンプ機能亢進を伴つた症例のみが,高血圧患者として生存しえていると考えられた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.74.541