腰椎変性すべり症に対する非固定時の成績からみた腰痛対策

われわれは腰椎変性すべり症に対し,原則として固定術は併用せず腰椎安定性を温存しつつ手術用顕微鏡下の部分椎弓切除術を行っている.今回本術式の治療成績を検討し,腰痛対策について考察した.腰椎変性すべり症手術例44例(男性23例,女性21例),手術時平均年齢66歳(45~82歳)を対象とした.JOA scoreは術前平均13.7点から術後平均23.1点に改善した.術後のすべり率の増強は軽度であり,再手術例は1例のみであった.不安定性を伴う高度のすべり症に対しては固定術を要すると思われるが,椎間関節を温存しつつ適切に除圧を行えば,多くの症例では除圧術のみで対処可能であり,腰痛の増強も生じないと思われた...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 69 - 74
Main Authors 藤本, 吉範, 伊東, 祥介, 越智, 光夫, 田中, 信弘, 大石, 芳彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 2004
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-9074
1882-1863
DOI10.3753/yotsu.10.69

Cover

More Information
Summary:われわれは腰椎変性すべり症に対し,原則として固定術は併用せず腰椎安定性を温存しつつ手術用顕微鏡下の部分椎弓切除術を行っている.今回本術式の治療成績を検討し,腰痛対策について考察した.腰椎変性すべり症手術例44例(男性23例,女性21例),手術時平均年齢66歳(45~82歳)を対象とした.JOA scoreは術前平均13.7点から術後平均23.1点に改善した.術後のすべり率の増強は軽度であり,再手術例は1例のみであった.不安定性を伴う高度のすべり症に対しては固定術を要すると思われるが,椎間関節を温存しつつ適切に除圧を行えば,多くの症例では除圧術のみで対処可能であり,腰痛の増強も生じないと思われた.本術式は固定術に比べ低侵襲であり,特に高齢者に対する低侵襲手術としての意義は大きいと思われた.
ISSN:1345-9074
1882-1863
DOI:10.3753/yotsu.10.69