水稲の冠根原基の形成に関する研究 : 第3報 主茎の不伸長茎部における冠根原基形成の品種間差異

水稲の主茎の不伸長茎部における冠根原基形成の品種間差異について, 出現冠根数の異なる5品種の8.5~8.6葉齢個体を用いて解剖学的に検討した. 1) 分げつを含む個体当たり出現冠根数は, IR36, 日本晴, フジミノリ>コシヒカリ>アケノホシの順に多かった. この順序は, 分げつ数の多い順序と一致した. 2) 主茎の冠根原基数はIR36が最も多く, ついでフジミノリ, 日本晴で, コシヒカリ, アケノホシは少なかった. 一方, 冠根原基基部直径は, 冠根原基数の多い品種ほど小さかった. 冠根原基形成部位全体の茎軸長および辺周部維管束環側面積と冠根原基数との関係は明らかではなかった...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 66; no. 4; pp. 610 - 615
Main Authors 新田, 洋司, 守屋, 剛志, 山本, 由徳
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本作物学会 1997
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.66.610

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Summary:水稲の主茎の不伸長茎部における冠根原基形成の品種間差異について, 出現冠根数の異なる5品種の8.5~8.6葉齢個体を用いて解剖学的に検討した. 1) 分げつを含む個体当たり出現冠根数は, IR36, 日本晴, フジミノリ>コシヒカリ>アケノホシの順に多かった. この順序は, 分げつ数の多い順序と一致した. 2) 主茎の冠根原基数はIR36が最も多く, ついでフジミノリ, 日本晴で, コシヒカリ, アケノホシは少なかった. 一方, 冠根原基基部直径は, 冠根原基数の多い品種ほど小さかった. 冠根原基形成部位全体の茎軸長および辺周部維管束環側面積と冠根原基数との関係は明らかではなかった. いずれの品種でも, 各 "単位" でプロットした辺周部維管束環側面積と冠根原基数との間には有意な正の相関関係が認められたが, その1次回帰式の傾きであらわされる冠根原基形成率は, 冠根原基数の多い品種ほど高かった. 3) 以上の結果, 本実験で用いた5品種において, 主茎の冠根原基数は, 分げつ数および分げつを含む個体当たりの出現冠根数の多い品種ほど多いこと, また, 冠根原基数の多い品種では冠根原基基部直径の細いことが明らかとなった.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.66.610