教員の職業的社会化過程で成員間に生じるコンフリクトに関する分析 正統的周辺参加論の枠組みから
本稿の目的は,教員の職業的社会化過程を,正統的周辺参加論の視点から分析し,学校研究と教員研究に新たな学問的示唆を提出することである。 従来の教員の職業的社会化研究では,教育実践をめぐって成員間に生じるコンフリクトの存在や,それが集団にもたらす影響についての分析と考察を欠いてきた。そこで本稿では,教員の職業的社会化の過程で生じるコンフリクトが集団に与える再帰的な影響について,人権教育推進校であるX小の学校組織文化を取り上げ,成員の組織的社会化過程を正統的周辺参加論の枠組みから検討した。 調査より以下の三点が明らかにされた。第一に,成員は集団の歴史的背景に基礎づけられた教育実践に参加し,状況に...
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Published in | Kyōiku shakaigaku kenkyū Vol. 102; pp. 217 - 237 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Tokyo
日本教育社会学会
31.05.2018
Nihon Kyoiku Shakai Gakkai |
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Summary: | 本稿の目的は,教員の職業的社会化過程を,正統的周辺参加論の視点から分析し,学校研究と教員研究に新たな学問的示唆を提出することである。 従来の教員の職業的社会化研究では,教育実践をめぐって成員間に生じるコンフリクトの存在や,それが集団にもたらす影響についての分析と考察を欠いてきた。そこで本稿では,教員の職業的社会化の過程で生じるコンフリクトが集団に与える再帰的な影響について,人権教育推進校であるX小の学校組織文化を取り上げ,成員の組織的社会化過程を正統的周辺参加論の枠組みから検討した。 調査より以下の三点が明らかにされた。第一に,成員は集団の歴史的背景に基礎づけられた教育実践に参加し,状況に埋め込まれた学習を行っていた。第二に,教員同士の相互交流を通して,成員はX小の成員としての熟練のアイデンティティを形成していた。第三に,教員集団の連続性と成員の置換の矛盾に伴って実践者間に生じるコンフリクトは,集団の結合と相互交流を喚起する組織化を集団に促し,文化的構造の再生産をもたらす再帰的な影響を有していた。最後に,本知見が先行研究に対して有する学問的示唆について考察を行なった。 |
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ISSN: | 0387-3145 2185-0186 |
DOI: | 10.11151/eds.102.217 |