永久前歯被蓋完成初期における多方位口唇閉鎖力 (II) 口唇閉鎖力と口唇形態・前歯部被蓋との関連
【目的】本研究の目的は,新たに開発された多方位口唇閉鎖力測定装置を用いて,永久前歯被蓋完成初期における口唇閉鎖機能と口唇形態・前歯部被蓋との関連を検討することである.【対象および方法】長野県下3小学校の小学4年生児童242名を対象とし,野外調査にて,口唇閉鎖力,前歯部被蓋関係[オーバージェット(OJ),オーバーバイト(OB)],安静時側貌写真を記録した.口唇閉鎖力は,最大努力での口すぼめ運動時の多方位口唇閉鎖力を測定した.側貌写真より,フランクフルト平面に対して垂直な面における全口唇高を計測し,全口唇高に対する相対比として,上唇比,赤唇比,下唇比をそれぞれ求めた.また安静時,軽く口を閉じた状態...
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Published in | 日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 17; no. 2; pp. 104 - 112 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎口腔機能学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 1340-9085 1883-986X |
DOI | 10.7144/sgf.17.104 |
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Summary: | 【目的】本研究の目的は,新たに開発された多方位口唇閉鎖力測定装置を用いて,永久前歯被蓋完成初期における口唇閉鎖機能と口唇形態・前歯部被蓋との関連を検討することである.【対象および方法】長野県下3小学校の小学4年生児童242名を対象とし,野外調査にて,口唇閉鎖力,前歯部被蓋関係[オーバージェット(OJ),オーバーバイト(OB)],安静時側貌写真を記録した.口唇閉鎖力は,最大努力での口すぼめ運動時の多方位口唇閉鎖力を測定した.側貌写真より,フランクフルト平面に対して垂直な面における全口唇高を計測し,全口唇高に対する相対比として,上唇比,赤唇比,下唇比をそれぞれ求めた.また安静時,軽く口を閉じた状態でのオトガイ部緊張の有無を評価した.これらと口唇閉鎖力との関連について統計学的解析を行った.【結果】女児においてOJと[上](上からの方向別口唇閉鎖力/総合力)ならびに[上+下]との間に低い正の相関が認められた.男女ともに,下唇比と総合力との間に低い相関が認められた.男児においては,オトガイ部に緊張があった群では,そうでない群に比べて,総合力と下からの方向別口唇閉鎖力は有意に小さかった.【結論】永久前歯被蓋完成初期において,口唇形態あるいは前歯部被蓋は口唇閉鎖機能に影響を与えるひとつの要因であることが示唆された. |
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ISSN: | 1340-9085 1883-986X |
DOI: | 10.7144/sgf.17.104 |