impulse oscillation systemによる術前呼吸機能検査 スペクトラムパターンによる評価

呼吸機能検査は術前患者の評価において有用だが,測定時には被検者による最大の努力呼吸が必要となる.一方,インパルスオシレーションシステム(IOS)は安静呼吸時に非侵襲的に施行できる.術前患者120症例を対象にIOSを行い,全気道抵抗(R5),中枢気道抵抗(R20),末梢肺の過膨脹を反映するリアクタンス(X5)などを測定すると共に,周波数スペクトラムパターンによる評価を行った.結果を正常呼吸機能群,閉塞性換気障害群,拘束性換気障害群に分け,各群をさらに30~64歳の成人群20例と65~85歳の老人群20例に分けて比較した.正常呼吸機能群では1例を除き,全て周波数スペクトラムパターンは正常型であった...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 69; no. 3; pp. 270 - 276
Main Authors 鈴木, 保良, 篠田, 威人, 小島, 三貴子, 水沼, 大, 飯塚, 浩基, 藤原, 久美子, 岡田, 保, 安本, 和正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.06.2009
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Summary:呼吸機能検査は術前患者の評価において有用だが,測定時には被検者による最大の努力呼吸が必要となる.一方,インパルスオシレーションシステム(IOS)は安静呼吸時に非侵襲的に施行できる.術前患者120症例を対象にIOSを行い,全気道抵抗(R5),中枢気道抵抗(R20),末梢肺の過膨脹を反映するリアクタンス(X5)などを測定すると共に,周波数スペクトラムパターンによる評価を行った.結果を正常呼吸機能群,閉塞性換気障害群,拘束性換気障害群に分け,各群をさらに30~64歳の成人群20例と65~85歳の老人群20例に分けて比較した.正常呼吸機能群では1例を除き,全て周波数スペクトラムパターンは正常型であった.閉塞性換気障害型の老人群,拘束性換気障害の成人群および拘束性換気障害の老人群では,正常型パターンを呈したのはそれぞれ15例,14例,12例であり,正常肺機能群に比べ有意に減少していた.さらに,閉塞性換気障害型の老人群,拘束性換気障害の成人群および拘束性換気障害の老人群では,周波数スペクトラムパターンの末梢閉塞型はそれぞれ4例,5例,7例であり,正常肺機能群に比べ有意に増加していた(P<0.05).閉塞性換気障害群および拘束性換気障害群において異常スペクトラムパターンを示す症例が有意に増加していた.また,拘束性換気障害群であるにも関わらず末梢閉塞パターンを示す症例が40例中12例に認められた.従って,周波数スペクトラムパターンを用いて呼吸器疾患の診断に利用できる可能性が示唆された.IOSにおいて周波数スペクトラムのパターンによる評価を試みた.今後はフローボリュウム曲線などにより得られる値との関連性などを検討すべきと思われる.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma.69.270