頸動脈狭窄症に対するstenting周術期のTranscranial Doppler (TCD) 所見およびその有用性
頸動脈ステント留置術は, さまざまな場所の狭窄病変に対して効果的な治療法である. これは, carotid endarterectomy(CEA)に代わる治療, 特にハイリスク患者に対しても行える治療として紹介されてきた. しかし一方では, 頸動脈に対する血管内治療中に一過性または永続性の神経脱落症状を呈する場合がある. これらの原因のほとんどは, 遠位塞栓による虚血性合併症と, hyperperfusion syndromeに代表される血行動態の急激な変化による合併症である. 頸動脈狭窄に対するステント留置術は, 欧米ではすでに少なくとも5, 000例あまりが行われている. Wholeyらの...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 30; no. 6; pp. 443 - 449 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2002
日本脳卒中の外科学会 |
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Summary: | 頸動脈ステント留置術は, さまざまな場所の狭窄病変に対して効果的な治療法である. これは, carotid endarterectomy(CEA)に代わる治療, 特にハイリスク患者に対しても行える治療として紹介されてきた. しかし一方では, 頸動脈に対する血管内治療中に一過性または永続性の神経脱落症状を呈する場合がある. これらの原因のほとんどは, 遠位塞栓による虚血性合併症と, hyperperfusion syndromeに代表される血行動態の急激な変化による合併症である. 頸動脈狭窄に対するステント留置術は, 欧米ではすでに少なくとも5, 000例あまりが行われている. Wholeyらの報告15)では, 手技成功率は9&4%, 治療後30日以内の合併症が, 軽度脳卒中2. 72%, 重度脳卒中149%, 心筋梗塞などの手技に関連しない要因も含めた死亡率0. 82%で, これらを含めた周術期のmorbidity, mortality rateは5. 07%と報告されている1). ステント留置術の対象になる症例の多くがCEAの適応になりにくいハイリスク群であることを考慮すると, 本治療の初期成績はきわめて良好であるが, さらに安全性を高めるための手段が必要と思われる. われわれは, 頸動脈狭窄病変に対するステント留置術のさいに, transcranial Doppler(TCD)の持続monitoringを行い, 血行動態の変化としてMBFV, PI, BPの変化を検討した. また, ステント留置に伴う最も危険な合併症である血栓の飛散について, TCDを用いてhyperintensity transient signals(HITS)をカウントすることにより, ステント留置術式による違いについて検討した. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.30.443 |