集中治療室入室中の患者に対する看護のマイクロエスノグラフィー 精神的ケアの可能性に焦点をあてて
目的:本研究は、集中治療室(ICU)で治療中の患者に対して行う看護師の処置やケアの場面の観察を通し、ICU看護師の精神的ケアの可能性について考察することを目的とした。 方法:マイクロエスノグラフィーを用いた。2か所のICUでの参与観察によるフィールドノーツと4名のICU看護師のインタビューからデータを収集し、患者への処置やケア時の行動パターンや思考の基盤となる考えの記述に文書による情報を加えて分析した。 結果:フィールドノーツから27の観察場面を特定した。ICU看護師の看護行為のあり様は、患者の意識レベルと会話が成り立つか否かによって異なった。意識が清明な状態の患者とは会話を通して、説明や...
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Published in | 医療看護研究 Vol. 18; no. 2; pp. 15 - 24 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
学校法人 順天堂大学医療看護学部
2022
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1349-8630 2758-5123 |
DOI | 10.60254/jhcn.18.2_15 |
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Summary: | 目的:本研究は、集中治療室(ICU)で治療中の患者に対して行う看護師の処置やケアの場面の観察を通し、ICU看護師の精神的ケアの可能性について考察することを目的とした。 方法:マイクロエスノグラフィーを用いた。2か所のICUでの参与観察によるフィールドノーツと4名のICU看護師のインタビューからデータを収集し、患者への処置やケア時の行動パターンや思考の基盤となる考えの記述に文書による情報を加えて分析した。 結果:フィールドノーツから27の観察場面を特定した。ICU看護師の看護行為のあり様は、患者の意識レベルと会話が成り立つか否かによって異なった。意識が清明な状態の患者とは会話を通して、説明や指示を行い、患者の気持ちを確認し、患者の不安に対応しようとしていた。一方、意識が混濁し、会話が成立しない患者に対して、看護師は、患者から発せられることばより、正確で安全を重んじた医療処置やケアを迅速に行うことに集中した。この時、患者の不安への対応は行われなかった。 考察:意識が混濁しているが故に歪んだ認知世界で不安になっている患者に対し、安心であると感じさせる看護師の言動が精神的なケアの一つに繋がるであろう。 |
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ISSN: | 1349-8630 2758-5123 |
DOI: | 10.60254/jhcn.18.2_15 |