間欠的自己導尿患者における尿路感染症の検討

間欠的自己導尿 (CIC) 患者における尿路感染症を検討するため, 種々の患者背景因子とその実態について検討した。対象は焼津市立総合病院泌尿器科において1995年1月現在, 間欠的自己導尿を施行している男21例, 女8例で, 平均年齢63.3歳 (23歳より88歳), 平均観察期間28.2か月 (1か月より96か月) の29例である。尿路感染症の定義を膿尿 (白血球≧10HPF), 細菌尿 (細菌数≧105CFIU/ml) の両者を有するものとし, その発症頻度, 起炎菌, 患者背景因子, 抗菌薬投与状況について調査し統計学的処理に関しては, 有意差検定にStudent's t-te...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 44; no. 12; pp. 874 - 878
Main Authors 藤田, 公生, 中西, 利方, 宇佐美, 隆利, 武藤, 智, 太田, 信隆, 鈴木, 和雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.12.1996
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.44.874

Cover

More Information
Summary:間欠的自己導尿 (CIC) 患者における尿路感染症を検討するため, 種々の患者背景因子とその実態について検討した。対象は焼津市立総合病院泌尿器科において1995年1月現在, 間欠的自己導尿を施行している男21例, 女8例で, 平均年齢63.3歳 (23歳より88歳), 平均観察期間28.2か月 (1か月より96か月) の29例である。尿路感染症の定義を膿尿 (白血球≧10HPF), 細菌尿 (細菌数≧105CFIU/ml) の両者を有するものとし, その発症頻度, 起炎菌, 患者背景因子, 抗菌薬投与状況について調査し統計学的処理に関しては, 有意差検定にStudent's t-testを用いた。膿尿の発生頻度は, 平均0, 15回1月, 尿路感染症は平均0.07回/月であった。尿路感染症の発生頻度は尿失禁の有無および尿道膀胱バルーンカテーテル留置歴の有無と相関し, いずれも無の方が有意に低かった。抗菌薬の使用ではニューキノロン系薬剤が, 全症例のべ観察期間中65.8%を占めた。分離菌はEscherichia coliがもっとも多く, グラム陰性菌が52.9%を占めた。全経過を通じて尿路感染症を併発したものは29例中23例 (79%) であり, その予防対策として尿道膀胱バルーンカテーテルの留置を極力回避すること, 自己導尿の指導を医療スタッフが厳密に施行することが重要と考えられた。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.44.874