電子プローブマイクロアナリシス法及び二次イオン質量分析法による大気浮遊粒子状物質の同一粒子分析

大気浮遊粒子状物質(SPM)の起源推定には個々のSPM粒子の平均組成だけではなく粒内元素分布も重要な情報となるが,一つの分析手法でこれらを得ることは難しい.そこで,大きさ数μmの粒子の平均組成情報が迅速かつ定量的に得られる電子プローブマイクロアナリシス法(EPMA)と,高感度元素分布分析が可能なガリウム収束イオンビーム二次イオン質量分析法(Ga FIB SIMS)で,同一のSPM粒子を分析する手順を考案した.二つの手法で微小粒子を分析する際に問題となるチャージアップと顕微視野内での粒子位置の特定には,それぞれ純銀製メンブランフィルター,純金製インデックスグリッドを用いることにより解決し,EPM...

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Published in分析化学 Vol. 45; no. 6; pp. 479 - 484
Main Authors 坂本, 哲夫, 冨安, 文武乃進, 二瓶, 好正, 尾張, 真則, 神宮, 信康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.1996
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.45.479

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Summary:大気浮遊粒子状物質(SPM)の起源推定には個々のSPM粒子の平均組成だけではなく粒内元素分布も重要な情報となるが,一つの分析手法でこれらを得ることは難しい.そこで,大きさ数μmの粒子の平均組成情報が迅速かつ定量的に得られる電子プローブマイクロアナリシス法(EPMA)と,高感度元素分布分析が可能なガリウム収束イオンビーム二次イオン質量分析法(Ga FIB SIMS)で,同一のSPM粒子を分析する手順を考案した.二つの手法で微小粒子を分析する際に問題となるチャージアップと顕微視野内での粒子位置の特定には,それぞれ純銀製メンブランフィルター,純金製インデックスグリッドを用いることにより解決し,EPMAとSIMSによる同一粒子分析が可能となった.この方法を実際のSPM粒子に適用した結果,従来のEPMA分析による平均組成情報に加えて,Ga FIB SIMSにより新たに微量元素も検出され,更に粒内一次元元素分布を得ることができた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.45.479