片松葉杖歩行で3/4部分荷重を行うための姿勢調整 ― 荷重遵守率の異なる2名の姿勢アライメントからの気づき O-079 測定・評価

【はじめに、目的】 下肢骨折等の運動器疾患において荷重量を部分荷重から開始することがある。当院では体重計を使った荷重練習を行った後に、歩行練習へ移行しているが、実際に歩行中の荷重が守れているか確認することはできていない。今回、靴型の下肢荷重計DUPLODEC(株)製そくまる(以下、荷重計)を使用できる機会があり、部分荷重片松葉杖歩行中の荷重量を測定した。今回は3/4部分荷重での片松葉杖歩行を計測し、荷重量を遵守しながらの歩行の特徴を検証することを目的とし、若干の知見を得たので報告する。【方法】 既往に神経学的疾患や運動器の変形や疼痛などのない健常成人8名(男性:6名、女性:2名、平均年齢34....

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Published in九州理学療法士学術大会誌 p. 79
Main Authors 中田, 海聖, 濱崎, 寛臣, 前田, 徹, 三宮, 克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2023
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2023.0_79

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Summary:【はじめに、目的】 下肢骨折等の運動器疾患において荷重量を部分荷重から開始することがある。当院では体重計を使った荷重練習を行った後に、歩行練習へ移行しているが、実際に歩行中の荷重が守れているか確認することはできていない。今回、靴型の下肢荷重計DUPLODEC(株)製そくまる(以下、荷重計)を使用できる機会があり、部分荷重片松葉杖歩行中の荷重量を測定した。今回は3/4部分荷重での片松葉杖歩行を計測し、荷重量を遵守しながらの歩行の特徴を検証することを目的とし、若干の知見を得たので報告する。【方法】 既往に神経学的疾患や運動器の変形や疼痛などのない健常成人8名(男性:6名、女性:2名、平均年齢34.1±8.6歳、平均体重63.6±11.0 ㎏)を対象とした。荷重計を利き足(以下、免荷側)に装着し片松葉杖を使用した3/4部分荷重練習・ステップ練習を5分間実施した後、10mの歩行路を2点1点前型交互型で3/4部分荷重片松葉杖歩行を行うように指示した。体幹・下肢のランドマークにマーキングを行い、後方から動画を撮影し、免荷側下肢の立脚期毎に立脚中期の静止画を画像解析ソフトImageJを用いて、前額面上の体幹傾斜角(松葉杖側への傾斜を+、免荷側への傾斜を-で表記)、下肢外転角、松葉杖傾斜角を計測し平均値を算出した。荷重量は免荷側下肢立脚期の最大荷重量とし、計測区間の3/4部分荷重以下の歩数を全歩数で除したものを荷重遵守率とする。今回は荷重遵守率最高値の対象者(以下、対象A)、最低値の対象者(以下、対象B)の歩行時のアライメントを見比べた。【結果】 各項目を対象A、対象Bの順に示す。荷重遵守率100%、35.7%、体幹傾斜角6.9°、6.4°下肢外転角16.0°、5.3°、松葉杖傾斜角度6.8°、15.2°であった。【考察】 対象Aは下肢外転角が最も大きく身体重心が松葉杖に近く、片松葉杖で荷重を受けることで荷重量を遵守することが可能であった。対象Bは松葉杖傾斜角が最も大きく、体幹傾斜角、下肢外転角が小さいため身体重心が免荷側下肢に近く過荷重となることが多かったと考える。身体重心が松葉杖と免荷側下肢が成す支持基底面内の位置によって免荷側下肢への荷重量が変化することが予測される。柳澤らは、片松葉杖歩行で荷重に影響し得る要素として、体重、杖の側方への距離、歩隔、身長が認められたとしている。今回の検証では先行研究と同様に、下肢外転角、松葉杖傾斜角を調整し松葉杖を把持している上肢で荷重を受け、免荷側下肢の荷重量を遵守した片松葉杖歩行が可能であったと考える。【まとめ】 片松葉杖歩行で部分荷重を遵守するには、身体重心を片松葉杖側に移動させる姿勢調整を行うため、正常歩行の姿勢アライメントからは逸脱する。【研究の限界、課題】 今回は健常者での計測によるものである。また、サンプル数が少なく統計学的な検証が行えなかった。荷重量を遵守しながら片松葉杖歩行を行うには、歩行様式や筋活動などを検証し、より具体的な指導方法を検討する必要がある。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、発表に関する説明を行い、同意を得た上で実施した。
ISSN:2434-3889
DOI:10.32298/kyushupt.2023.0_79