N-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミンとピリジルアゾ色素の配位子交換反応を利用する環境試料中の微量バナジウム(V)の抽出/吸光光度定量

V(V)はN-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミン(BPHA)と赤紫色の錯体を生成し,クロロホルムに抽出される.この抽出液に2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエチルアミノフェノール(5-Br-PADAP)を加えると,配位子交換反応によりV(V)-5-Br-PADAP錯体が生成する.この反応を利用して,微量V(V)の選択的かつ高感度な抽出/吸光光度定量法を開発した.抽出されたV(V)-5-Br-PADAP錯体の吸収極大は600nmにあり,見掛けのモル吸光係数は5.4×104dm3mol-1cm-1であった.検量線は0~3.8μg(有機相)の範囲で良好な直線性を示し,吸光度0.00...

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Published in分析化学 Vol. 38; no. 2; pp. 76 - 81
Main Authors 星, 座, 高橋, 正, 松原, 睦哉, 井上, 貞信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.02.1989
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.38.2_76

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Summary:V(V)はN-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミン(BPHA)と赤紫色の錯体を生成し,クロロホルムに抽出される.この抽出液に2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエチルアミノフェノール(5-Br-PADAP)を加えると,配位子交換反応によりV(V)-5-Br-PADAP錯体が生成する.この反応を利用して,微量V(V)の選択的かつ高感度な抽出/吸光光度定量法を開発した.抽出されたV(V)-5-Br-PADAP錯体の吸収極大は600nmにあり,見掛けのモル吸光係数は5.4×104dm3mol-1cm-1であった.検量線は0~3.8μg(有機相)の範囲で良好な直線性を示し,吸光度0.001に対する感度は0.94ngcm-2であった.多くの共存イオンは10mgまで許容できるがW(VI)はV(V)の約2倍量までしか許容できなかった.又多量のFe(III)が共存する場合には試料を6mol dm-3塩酸溶液とし,あらかじめエーテルで抽出分離することにより5mgまでの共存を許容できる.本法を国立公害研究所の環境標準試料(自動車排出粒子,池底質)及びNBS標準試料(ばいじん,河川底質)に応用し,保証値と一致する結果を得た.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.38.2_76