声道模型を用いた声門開放面積と鼻咽腔開放度に関する雑音発生条件の検討

「要旨」病的音声における雑音と, 声門開放面積および鼻咽腔開放度の関連を調査する目的で, 声門開放面積と鼻咽腔開放度が可変する模型を作成し, 空洞実験を行った. 測定された雑音の音圧値を用い, 声門開放面積条件と鼻咽腔開放度条件の比較は決定木分析により統計学的に検討された. また, 各条件における録音された雑音のパワースペクトルについても検討した. 決定木分析の結果, 声門開放面積が大であるとき, 鼻咽腔開放が小さい場合と完全に鼻咽腔閉鎖している場合に大きな雑音を呈することが示された. 対して, 声門開放面積が小であるときには, 鼻咽腔が開放されている時に大きな雑音が発生していた. さらに声門...

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Published in大和大学研究紀要 保健医療学部編 Vol. 8; pp. 1 - 6
Main Author 樋口直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大和大学 15.03.2022
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ISSN2432-5597

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Summary:「要旨」病的音声における雑音と, 声門開放面積および鼻咽腔開放度の関連を調査する目的で, 声門開放面積と鼻咽腔開放度が可変する模型を作成し, 空洞実験を行った. 測定された雑音の音圧値を用い, 声門開放面積条件と鼻咽腔開放度条件の比較は決定木分析により統計学的に検討された. また, 各条件における録音された雑音のパワースペクトルについても検討した. 決定木分析の結果, 声門開放面積が大であるとき, 鼻咽腔開放が小さい場合と完全に鼻咽腔閉鎖している場合に大きな雑音を呈することが示された. 対して, 声門開放面積が小であるときには, 鼻咽腔が開放されている時に大きな雑音が発生していた. さらに声門開放面積が同じ条件下では, 鼻咽腔開放が大であることが雑音発生に対し抑制的であることが示唆された. これらは, 病的音声における雑音の発生源が条件の組み合わせで起きることを示唆しており, これらの雑音の発生源を単純化することができないことを示している.
ISSN:2432-5597