介護老人保健施設ケアスタッフに対するパーソン・センタード・ケアに基づく転倒予防教育プログラム ~北陸地方における認知症高齢者の転倒予防効果の検証と認知症の行動心理症状(BPSD)高群に対する介入の検討

「要旨」【目的】本研究の目的は, パーソン・センタード・ケアを基盤とし, さらに認知症高齢者の転倒の特徴を踏まえて開発した転倒予防教育プログラムの介護老人保健施設に入所する認知症高齢者に対する介入効果を明らかにすることである. 【方法】2016年6月~2017年5月まで北陸地方の介護老人保健施設で介入群・コントロール群を設定し, 認知症高齢者に対する転倒予防教育プログラムを介入群に実施し, ケアスタッフは研修で学んだ知識を活用して転倒予防に取り組んだ. 研究期間は, ベースライン, 研修, 実践, フォローアップの各3か月間, 合計12か月間である. 【結果】本研究の介入群は18名(男性5名:...

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Published in日本転倒予防学会誌 Vol. 7; no. 3; pp. 27 - 38
Main Authors 鈴木みずえ, 加藤真由美, 谷口好美, 平松知子, 丸岡直子, 金盛琢也, 内藤智義, 泉キヨ子, 金森雅夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本転倒予防学会 10.03.2021
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ISSN2188-5702

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Summary:「要旨」【目的】本研究の目的は, パーソン・センタード・ケアを基盤とし, さらに認知症高齢者の転倒の特徴を踏まえて開発した転倒予防教育プログラムの介護老人保健施設に入所する認知症高齢者に対する介入効果を明らかにすることである. 【方法】2016年6月~2017年5月まで北陸地方の介護老人保健施設で介入群・コントロール群を設定し, 認知症高齢者に対する転倒予防教育プログラムを介入群に実施し, ケアスタッフは研修で学んだ知識を活用して転倒予防に取り組んだ. 研究期間は, ベースライン, 研修, 実践, フォローアップの各3か月間, 合計12か月間である. 【結果】本研究の介入群は18名(男性5名:27.8%, 女性13名:72.2%)コントロール群は14名(男性2名:14.3%, 女性12名:85.7%)であった. 平均年齢は, コントロール群は84.79(±6.59)歳, 介入群は86.67(±7.77)歳であった. 転倒率・転倒件数に関しては, 介入群の転倒率はベースライン期間66.7%に対して実践期間は41.2%と減少, 転倒件数ではベースライン期間19件から実践期間10件と減少していた. 介入群をベースライン時のGBSスケール下位尺度C(感情機能), D(認知症の症状)の得点で高群, 低群の2群に分けた結果, 高群において転倒件数が有意に減少していた. 【考察】本研究はBPSD高群に対して転倒率が有意に減少したことから, BPSDに関連した転倒予防に効果的なことが示唆された.
ISSN:2188-5702