骨盤位に対する灸療法の試み

骨盤位妊娠に対し古くから胸膝位, 外回転術などの胎位矯正術が試みられているがその確実性や安全性については疑問が残っている。そこで我々は三陰交, 至陰と湧泉の経穴に灸療法を施行して骨盤位矯正を試みた。対象は, 分娩まで観察管理可能であった22例, 妊娠継続中で分娩に至っていない6例, 計28例について検討した。頭位に矯正できたのは25例で矯正率89.3%だった。灸療法中および療法後に子宮収縮に伴う痛みなどの異常を認めなかった。頭位にもどり分娩に至った症例は, 前期破水にて35週6日で早産となった1例を除き, 他はすべて満期経膣分娩だった。全例, 児には異常を認めなかった。分娩まで骨盤位が矯正され...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 45; no. 2; pp. 345 - 350
Main Authors 徳永, 泰基, 松原, 英孝, 野村, 祐久, 釜付, 弘志, 米谷, 国男, 新里, 康尚, 金倉, 洋一, 永田, 文隆, 丹羽, 邦明, 森川, 重敏
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 20.10.1994
Subjects
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.45.345

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Summary:骨盤位妊娠に対し古くから胸膝位, 外回転術などの胎位矯正術が試みられているがその確実性や安全性については疑問が残っている。そこで我々は三陰交, 至陰と湧泉の経穴に灸療法を施行して骨盤位矯正を試みた。対象は, 分娩まで観察管理可能であった22例, 妊娠継続中で分娩に至っていない6例, 計28例について検討した。頭位に矯正できたのは25例で矯正率89.3%だった。灸療法中および療法後に子宮収縮に伴う痛みなどの異常を認めなかった。頭位にもどり分娩に至った症例は, 前期破水にて35週6日で早産となった1例を除き, 他はすべて満期経膣分娩だった。全例, 児には異常を認めなかった。分娩まで骨盤位が矯正されなかった3例は1例が双角子宮であり, 前期破水をおこし帝王切開となったが, 他の2例は満期経膣分娩にて生児を得た。以上から灸療法の骨盤位矯正は母児共に悪影響を及ぼすことなく安全な矯正法と考えられる。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.45.345