高分子電解質-イオン性色素錯体の非線形光学特性

高分子電解質とイオン性色素からなる錯体薄膜について, 3次の非線形光学材料としての可能性を検討した. 錯体は, 側鎖にスルホン酸基を有する高分子とシアニン及びトリフェニルメタン色素との, 対イオン交換反応により合成した. 反応溶媒の極性を制御することにより, モル比0.6の高色素含有率の錯体が得られた. この錯体は, キャスト法により, 均一で経時安定性に優れた薄膜とすることができた. 第3高調波発生により評価した錯体薄膜の非線形光学特性は, 薄膜中の色素濃度及び共鳴効果に依存して大きくなり, ヘミシアニン及びクリスタルバイオレットの錯体で, χ (3) =10-11esuを上回る値が得られた...

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Published in高分子論文集 Vol. 47; no. 11; pp. 857 - 862
Main Authors 富山, 裕光, 松田, 宏雄, 岡田, 修司, 正木, 篤, 中西, 八郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 25.11.1990
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Summary:高分子電解質とイオン性色素からなる錯体薄膜について, 3次の非線形光学材料としての可能性を検討した. 錯体は, 側鎖にスルホン酸基を有する高分子とシアニン及びトリフェニルメタン色素との, 対イオン交換反応により合成した. 反応溶媒の極性を制御することにより, モル比0.6の高色素含有率の錯体が得られた. この錯体は, キャスト法により, 均一で経時安定性に優れた薄膜とすることができた. 第3高調波発生により評価した錯体薄膜の非線形光学特性は, 薄膜中の色素濃度及び共鳴効果に依存して大きくなり, ヘミシアニン及びクリスタルバイオレットの錯体で, χ (3) =10-11esuを上回る値が得られた. また, 共役鎖長の異なる2種類のヘミシアニン錯体の間では, 共役鎖長の長い方が大きなχ (3) 値を持つことが分かった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.47.857