心原性ショックで発症した消化器癌術直後のたこつぼ心筋障害の2例

症例1は67歳の男性で, S状結腸癌穿孔にてハルトマン手術を施行した. 手術終了抜管前にshort runを来し, 電気的除細動を行った. 急性心筋梗塞の疑いで緊急心臓カテーテル検査を施行した. 冠動脈に有意狭窄はなく, 左室心尖側2/3にakinesisを認めた. 左室壁運動異常は次第に軽快し, 78病日に退院した. 症例2は80歳の男性で, 胃癌で幽門側胃切除術を施行した. 術後5時間で突然のショック症状と呼吸困難が出現したため, 人工呼吸器管理するとともにドパミン・ドブタミンの投与を行ったがショック状態から離脱できなかった. 急性心筋梗塞疑いで緊急心臓カテーテル検査を施行した. 冠動脈に...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 11; pp. 1868 - 1873
Main Authors 戸田, 桂介, 石井, 龍宏, 和久, 利彦, 雁木, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.1868

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Summary:症例1は67歳の男性で, S状結腸癌穿孔にてハルトマン手術を施行した. 手術終了抜管前にshort runを来し, 電気的除細動を行った. 急性心筋梗塞の疑いで緊急心臓カテーテル検査を施行した. 冠動脈に有意狭窄はなく, 左室心尖側2/3にakinesisを認めた. 左室壁運動異常は次第に軽快し, 78病日に退院した. 症例2は80歳の男性で, 胃癌で幽門側胃切除術を施行した. 術後5時間で突然のショック症状と呼吸困難が出現したため, 人工呼吸器管理するとともにドパミン・ドブタミンの投与を行ったがショック状態から離脱できなかった. 急性心筋梗塞疑いで緊急心臓カテーテル検査を施行した. 冠動脈に有意狭窄はなく, 左室心尖側80%にakinesisを認めた. ショック状態から離脱できないまま術後第2病日に死亡した. たこつぼ心筋障害は比較的予後良好な疾患とされているが開腹術後に心原性ショックを呈し不幸な転帰をたどる症例が存在することを認識する必要がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.1868