予防的下大静脈フィルターを用いた肺塞栓症併存巨大な胃gastrointestinal stromal tumorの1手術例

症例は72歳の女性. 食欲不振を主訴に近医受診. 腹部腫瘤を指摘され精査目的に当院消化器内科紹介, 入院となった. 腹部CTでは胃, 膵, 脾を圧排する一部嚢胞性変化を伴った巨大な腫瘍を認めた. 消化管内視鏡上, 胃の粘膜の異常は認められなかった. 血管造影検査では腫瘤により右胃動脈, 右胃大網動脈は外後方へ圧排され, 脾動脈造影では, 脾動脈の分枝である短胃動脈, 左胃大網動脈, 上極脾動脈などから栄養血管がみられた. 以上より胃gastrointestinal stromal tumorが疑われ手術の方針となった. 血管造影の3日後突然に呼吸困難出現し, 肺血流シンチにて両側肺梗塞の確診が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 11; pp. 1721 - 1726
Main Authors 目黒, 英二, 稲葉, 亨, 入野田, 崇, 早川, 善郎, 岡田, 晋吾, 貝塚, 広史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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Summary:症例は72歳の女性. 食欲不振を主訴に近医受診. 腹部腫瘤を指摘され精査目的に当院消化器内科紹介, 入院となった. 腹部CTでは胃, 膵, 脾を圧排する一部嚢胞性変化を伴った巨大な腫瘍を認めた. 消化管内視鏡上, 胃の粘膜の異常は認められなかった. 血管造影検査では腫瘤により右胃動脈, 右胃大網動脈は外後方へ圧排され, 脾動脈造影では, 脾動脈の分枝である短胃動脈, 左胃大網動脈, 上極脾動脈などから栄養血管がみられた. 以上より胃gastrointestinal stromal tumorが疑われ手術の方針となった. 血管造影の3日後突然に呼吸困難出現し, 肺血流シンチにて両側肺梗塞の確診が得られ, 術前に下大静脈フィルターを留置し全身麻酔下に手術を施行し, 術中, 術後合併症なく管理が可能であった. 今回は血管造影が原因と考えられたが, 肺塞栓症, 深部静脈血栓症の既往もしくは発症が懸念される患者には周術期の肺血栓塞栓症発症予防の目的で, 下大静脈フィルターを留置することは有用と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.1721