鼻出血の臨床統計 とくに高齢者の鼻出血について
1984年から1990年までの7年間で東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科の外来を受診した患者のうち, 鼻出血を主訴として治療をうけた1632名の臨床的統計をおこなった。一般的には, 小児 (10歳以下) と40歳以上に発症年齢のピークがあり, 季節的には6月と冬季 (12月-2月) に外来受診のピークを認めた。そのなかでとくに高齢者 (65歳以上) の患者に注目したところ, 入院するような重篤な鼻出血で, 高齢者の占める割合が増していた。さらに出血部位では, キーゼルバッハ部位 (Kiesselbach's area) より下鼻甲介後端や下鼻道側壁や嗅裂からの出血が増加する傾向がみられた。...
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Published in | 耳鼻咽喉科展望 Vol. 35; no. 1; pp. 45 - 51 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
耳鼻咽喉科展望会
15.02.1992
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ISSN | 0386-9687 1883-6429 |
DOI | 10.11453/orltokyo1958.35.45 |
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Summary: | 1984年から1990年までの7年間で東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科の外来を受診した患者のうち, 鼻出血を主訴として治療をうけた1632名の臨床的統計をおこなった。一般的には, 小児 (10歳以下) と40歳以上に発症年齢のピークがあり, 季節的には6月と冬季 (12月-2月) に外来受診のピークを認めた。そのなかでとくに高齢者 (65歳以上) の患者に注目したところ, 入院するような重篤な鼻出血で, 高齢者の占める割合が増していた。さらに出血部位では, キーゼルバッハ部位 (Kiesselbach's area) より下鼻甲介後端や下鼻道側壁や嗅裂からの出血が増加する傾向がみられた。高齢者では, 高血圧症の既往歴の割合が増し, さらに出血後も高血圧の治療を必要とする患者が多かった。また上顎洞癌や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍を合併することもあり, 高齢者の鼻出血では, 高血圧症や心疾患や悪性腫瘍などの基礎的疾患を考慮に入れながら, 鼻出血の原因と治療にあたるべきであると考えられた。 |
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ISSN: | 0386-9687 1883-6429 |
DOI: | 10.11453/orltokyo1958.35.45 |